生と死、異常と正常を隔てる車線をいとも簡単に踏み越えていく。観終えた後には倫理観と性的観念が壊されてしまうに違いない、煽り運転NTRムービー(^_^;)
自動車事故に取り憑かれたイカれた者たち…。
実に不謹慎だ。だがこのエロスは何だ?
この映画で描かれる奔放な性表現は生と死の表裏一体故か、ある種の美しさすら感じてしまう。なんだコレは…?
生と死の境、そのライン際を走る車。
車に乗るということは極端に言えば一歩死に近付くということだ。すなわち死のリスクを伴う霊柩車ドライブ。
衝突。鉄の塊は激しく突っ込まれガラスを割り、鉄と肉を突き破る。流れる血液は鉄の味…。
求道者ヴォーンは死相の男だ。
すでに屍体のような身体になりながら、事故経験からの性的エネルギーの解放へジェームズとキャサリン夫婦を導いていく。煽り運転NTR、洗車NTR、常軌を逸した行動はエスカレートしていく…。
異常かもしれない。
変態かもしれない。
だが一つ言えることは、ジェームズとキャサリンは愛を取り戻したことも事実だ。カタチは歪かもしれないが、二人にとっては求めていた愛、辿り着いた愛であることは確かだ。
その意味ではヴォーンは預言者であり聖人なのかもしれない…。
時折映し出されるハイウェイを流れる膨大な車、交通量がまるで動脈を流れる血液のようで印象的だ。ハワード・ショアによるメインテーマが警告のように頭に響き渡る。
97年の公開当時、まだ20代だった自分はコレを観てやけに興奮したのを覚えている笑
暴力とダメージを通じて肉体の変容を描き出すクローネンバーグ。これまでもモノ凄く琴線に触れてきたクローネンバーグ作品の中でもかなり好きな作品♪
過去レビュー 1997年 映画館 鑑賞