しんしんと更ける夜のように、冷たい雪が点々と舞うように、全般におよんで急展開のない暗い展開ではあるものの、実に丁寧なつくりで、かつメッセージ性を最大限込めた作品。
環境問題をはじめ、大企業は社会的責任(CSR)を負うとされ、資本主義社会においてある種の修正がなされています。
さて、本作は社会的制裁を下すテロリスト「ザ・イースト」の存在意義、彼らの目標企業、同害報復の理念で襲撃、この一連のプロットに、加えて別の物語軸が「潜入」するという二段階構造となっています。
その物語とは主人公が文字通り「ザ・イースト」へ潜入することなのですが、彼女の雇い主が興味深い企業なんです。警察の捜査ではない。これが本作の醍醐味であって「正義」の正当化根拠を(哲学には疎くて申し訳ないのですが)権力以外に求めるスタンスが、鑑賞者に深い問いを投げかけることとなるに違いありません。
ラストも皮肉的かつ潔い。