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だれかのまなざしのkuuのレビュー・感想・評価

だれかのまなざし(2013年製作の映画)
3.6
『だれかのまなざし』 映倫区分 G
製作年 2013年。上映時間 7分。
新海誠監督の短編アニメーション作品。
2013年2月に野村不動産グループ『プラウドボックス感謝祭』で限定公開され、その後、2013年5月31日に公開された映画『言の葉の庭』と同時上映された。
一匹の猫を中心に、『未来』『家族の絆』をテーマに、一人の女性の成長やその家族の姿を描く。

舞台は少し未来——。
就職を機に一人暮らしを始めた岡村綾、通称あーちゃんは、社会人2年生。
実家で猫のミーさんと暮らす父は、あーちゃんをいつも気にかけているが、二人の間には微妙な距離が。
ある夜、仕事で疲れた身体をベッドに横たえ、目を閉じるあーちゃん。
幼いころ、家族で過ごした楽しい日々や寂しさ、ずっとそばに居てくれたミーさんの姿——次々と思い出が蘇る中、一本の電話が……。

人生には、家族を当たり前のものやと思ってたことが、おそらく誰にでもあるはず。
それ以上に友達は家族のようにいつもそばにいてくれるわけではない。
友は行ったり来たりするもので、その愛情はたいてい条件付きで要求されるもの。
例外もあるのはあるが。
絶大で揺るぎない絆を示す友もいれば、我々のことなどどうでもいいという家族もいる。
しかし、ほとんどの場合、家族は、よっぽどのことがない限り無条件に愛してくれる。
病気のときに世話をしてくれ、衣食住、そして、教育を受けさせくれる。
子供のために懸命に働いてくれた彼らを、当たり前だと思ったり、忘れたりしてはならない。
この約7分の短編アニメで、このすべてが見事に描かれている。
今作品は、実家を出て自立した生活を求める少女の姿を描いていました。
生活苦にあえぐ彼女だが、父親には本当の自分の生活を偽っている。
彼女も父親も、かつてのような家族の絆を失い、孤独と闘っている。
今作品は、家族の絆を取り戻すのに、遅すぎるということはないことを示していました。
この物語が実に力強いのは、短い人生ドラマの割に現実的であること。  
たった数分の間に、今作品は明確で心のこもったメッセージを提示している。
とは云え、その表現方法は完璧とまでは云わない。
個人的には、他の短編アニメと比べると、ストーリーの流れがあまり楽しめなかった。
のいくつかの部分は、行き当たりばったりで、あっという間に終わってしまう。
全体的なメッセージは素晴らしいんやけど、物語の進め方はまずまずかな。
でも、今作品のアート/アニメーションはたくみだったし、短い時間にこれ以上は望めない。
サウンドトラックも全体的に良かった。
クラシックなピアノの音色が心に響くし、シリーズの中盤近くには実際の曲もある。
今作品の美学とサウンドトラックを楽しめた。
2人のキャラはとても人間的で、共感せずにはいられなかったし、ほんの数分の間に、この家族に愛着を持ち、彼らが幸せを手に入れるのを見届けたいと思ったかな。
今作品を見終わった後、過去について考えずにはいられなかった。
我々はいつの間にか、無邪気さや人生の単純なものに対する愛情を失ってしまう。
無知に由来するささやかな至福を失ってしまう。
もしかしたら、かつて愛したものをすべて卒業したのかもしれない。
でも、誰にもわからない。
もしかしたら、もう一度それらのものに恋するのに、遅すぎるということはないのかもしれない。
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