むらむら

ビートルズと私のむらむらのレビュー・感想・評価

ビートルズと私(2011年製作の映画)
5.0
ビートルズ好きな作曲家が、色々な人にビートルズのメンバーの思い出を聴いてまわる記録映画。

俺の書く感想の半分以上が意味がないように、たぶんビートルズ知らない人にとっては「具志堅用高の愛犬が死んだ」といった意味のないニュースを今日読んだとき以上に興味を惹かれない作品。逆に、ビートルズを知ってる人には、是非観てほしい作品。

当時の関係者、ミュージシャン仲間、グルーピーや恋人、果ては天文学者なんて人も出てきて、彼らかや彼女らから観た四人のアイドルたちの姿を語ってくれる。愛がお金で買えないのと同じように、この貴重な証言はプライスレスなものだと思う。

"She is leaving home"を口ずさみ、「ポールと当時会った思い出は永遠に生きている」と語るブライアン・ウィルソン。「白人で初めて、黒人音楽であるモータウンを聴いて育った、と明言したのは彼らなんだ」ってのはスモーキー・ロビンソンの言葉。アート・ガーファンクルはジョンに「ポール(・サイモン)との復活、やってみてどうだった?」なんて洒落た言葉をかけられる。降り止まない雨のように、数々の証言がテンポよく紡がれていく。

モンキーズのデイビー・ジョーンズや、名優ベン・キングズレーの「えっ、そんな繋がりがあったの?」ってエピソードも面白い。ただ、ジョン・ヴォイドだけは、何で出てるのかイマイチ不明だった。「偶然近くのレストランにジョンが来てるって聞いて、会いたかったけど会えなかったよ」って、それエピソードでも何でもなくない? 

他にも、マニアじゃない俺にとって新鮮な話も幾つかあった。ジョンが共和党のドナルド・レーガンに共感してた話とか。「アビーロード」が、もともと「エベレスト」ってタイトルでリリースされそうになってた、とか。「ヒマラヤ山脈まで行ってジャケットを撮影しよう、って計画が持ち上がって、ポールが慌てて「いや、ジャケットなんて、スタジオ前の横断歩道でいいじゃん」と説得して、現在の形になったらしい。マイアミ・ビーチから飛行機でひとっ飛びって訳にいかないから、ポールの判断は当然だよね! とはいえ、映画「イエスタディ」じゃないけど、「アビーロード」が「エベレスト」だった世界線も体験してみたかったかも。

すでに他界されている方、元気に活躍されている方、さまざまな方がインタビューに登場している。年老いて髪の毛も薄くなってるのに、みんな童心に還ったかのように生き生きと思い出を語ってくれて、観てるこっちも楽しくなってしまう。

俺、リバプールでビートルズ由来の地を辿る「マジカル・ミステリー・ツアー」に参加したことがある。バスの中でビートルズのマニアックなクイズ大会があって、みんなバンバン正解して、正解者には拍手喝采。ゆかりの地を訪れることが出来たことよりも、黒人も白人も、アジア系もヒスパニックも関係なく、ビートルズが好きだというだけの共通点を持つ仲間たちと一緒の時間を過ごせたことが楽しかった。俺はボッチ参加だったけど、その場にいた仲間たちの小さな助けで、キャバーンクラブやペニーレーンで記念写真も撮れたしね!(というわけで、プロフ写真ちょっと変えてみました)

これを書いている2020年12月8日はジョンが凶弾に倒れて40年。この40年間で、世界はちょっとでも良くなったのだろうか?

少し早いけど、来年が、今年より少しでも良い年になりますように!

※ネタバレ欄に、エンディングで挙げられてた曲の一覧を入れときます。
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