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白痴のyawaraのレビュー・感想・評価

白痴(1951年製作の映画)
3.9
心の傷を持つ戦争帰りの青年が二人の女性と出会い、やがて大きな渦に巻き込まれていく。

主人公である亀田の持つ純朴さは心の病によるのか、それとも生来持ち得た気質なのかはハッキリと描かれず、不思議な魅力に溢れる。本人曰く白痴以前の自分とは別人のように感じるとの事だが、昔から周りの人との違いに苦しんできたようにも見える。何かにつけて呆然とした顔をしたり、胸に手をあてて心のざわめきを抑えるような仕草をするのが印象的。独特な間の取り方と、いやに丁寧な喋り方で特異なキャラクターを作り出している。
他のキャラクター達も亀田に劣らず強烈な魅力を放ち、そこから感じられるのはキャスティングとディレクションの上手さ、そして役者陣の表現力。

キャラクターの描写に比べると構成は少し甘いように感じてしまった。編集が済んでいたものをあらためて短縮したためか。とはいえドラマ性はとても高く、その余白は十分に楽しむに値するものではないかと思います。
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