『ブルージャスミン』(Blue Jasmine)2013
ケイト・ブランシェットの演技に圧倒。
ニューヨークで投資家の妻としてセレブ生活を送っていたジャスミン(ケイト・ブランシェット)。夫ハル(アレック・ボールドウィン)が投資詐欺で逮捕されて一文無しになりジャスミンはロスアンジェルスの妹ジンジャー(サリー・ホーキンス)を頼る。
ジンジャーが付き合っているのは粗野で無教養なチリ。
この人物配置は『欲望という名の電車』を思い起こすと指摘されている。
ジャスミンを演じるにあたってケイト・ブランシェットはネズミ講で逮捕された金融詐欺師バーニー・マドフの妻ルース・マドフのインタビュー映像でルースの話し方やボディランゲージを学んだそうな。(IMDB)
ケイト・ブランシェットとサリー・ホーキンスはウディ・アレンの脚本にジャスミンとジンジャーのバックグラウンドが書き込まれていないので二人で生い立ちを創作した。ジャスミンとジンジャーは血が繋がっておらず養護施設から同じ里親の元に引き取られたという設定。里親とそりが合わなかったジンジャーが一人家出した。
ブランシェットとホーキンスが創作した二人の背景は見事だ。血が繋がっていないから「仕方ないな」と諦める「絆」もない。親から捨てられた子供が相手を最後の拠り所にしたけれど所詮は他人同士。
一人ポツンと世界に放り出された者同士だから。
ケイト・ブランシェットはプライドだけ高いけど何も中身がなくて嘘を嘘で塗り固める人物がものすごいリアリティで表現している。
ラスト全てを失ったジャスミンの表情に圧倒される。
1ミリも同情出来ない嘘つきのダメ人間なのに何故か心がざわつく。