JIZE

ミケランジェロ・プロジェクトのJIZEのレビュー・感想・評価

3.4
高額な美術品奪還に挑んだ人類の遺産や叡智を取り戻す英雄達の極秘プロジェクト始動!!公開中止を乗り越え日本上陸を遂げた不朽な英傑譚!!特殊部隊モニュメンツメンの高貴な風貌と不器用な不備感の対比を称賛!!軍服や敬礼,銃構えなど普段と対極な相容れぬ露呈感も!!新種で不備な彼等7人組の英雄像に姿言動を置き換え童心を取り戻せる作品でもあった..西洋文明の歴史的な芸術認識の減退に警鐘を唱え実情目線で観客に投げ掛けるメタ提起も芸術に熱意を注ぎ込む彼等視点で俯瞰的でシニカルに描かれていたので見応えは歴史開拓物な観点でもあった..先に補論を挟めば当初本作は日本で昨年2014年秋に20世紀FOX配給で公開が計画通り封切られる予定だったんですが諸々の諸事情で劇場公開が不幸にも中止に陥り輸入版DVD仕様で日本語吹替えが本家公開より先に海外版で差し込まれたという不遇な販売経路を辿る一種曰く付きな首を捻らざる得ない状態で日本公開に足を踏み切った作品。で,それをプレシディオ配給で今月満を持し公開が決定した映画。正直,今公開したタイミングもヒトラーが戦時中に発令したネロ計画並に謎が多く元々配給側が略奪や奪還などメタな本編の題材に重ねたプロパガンダ行為(計画)⁉︎とすらシニカルな視点で冷笑気味に疑ってしまう。で,本作,話自体は当時1943年の第二次世界大戦下を舞台に,戦争経験ゼロな7人の美術専門家たちがナチスドイツ側の(芸術品や文化財等)略奪行為を阻止し奪還を試み特殊な作戦を遂行する,芸術家プロ7人組(モニュメンツメン=美術品の奪還部隊)の連合軍側に映画的な醍醐味の軸点を置く英雄寄りな喜劇風潮で熱い特殊部隊物。彼等の個々特性も元美術館の館長や学芸員,建築家,彫刻家,美術商,学者など戦争経験ゼロで体力源も浮き足立つ中年男が芸術に対する熱き想い1本で最前線を駆け抜ける実話80%,架空20%程度に忠実構成を置きノンフィクションな歴史踏襲を正当に成し遂げた本作。役者陣の妙に噛み合わず不器用なアンサンブル演出も凝り固まる映画に転化されず私自身はテンポ良い苦笑な休符を挟みパッケージ全体で作品を眺めた結果,どこか戯け楽観調な気楽に描いてく構成もアリだと思いました。ナチスによりヨーロッパ中に散りばめ隠された(贋作含め)約500点以上に及ぶ偉大な芸術作品ダヴィンチ「最後の晩餐」やミケランジェロ「ブルージュの聖母子像」,エイク兄弟「ヘントの祭壇画」他フェルメールやゴッホ,ピカソ,ブルンジ,レンブラント作品など劇中で湿っぽい坑道に粗末な毛布で包まれ雑然と放置されているのが酷で印象深いんですが,この種の絵画や彫刻(マニア)好きにも本作は必見でミケランジェロ作品は逆に抑え気味なタイトル由来と反し嫌味に思えた。ナチスの蛮行にも失われた名画の数々を思い起こすと衝撃を受ける。あとケイトブランシェットの吹替えで工藤静香を(製作側が)選んだのも完璧に無知で1番の地雷。

概要。ジョージ・クルーニー自身5作目の監督作品。また彼は脚本・主演を務める。日本公開でも1度2014年秋に公開中止となり第二次世界大戦中の実話を元に映画化したサスペンス活劇本作。主演はクルーニー筆頭に『オデッセイ(2016年(予))』のマット・デイモンや『シンデレラ(2015年)』のケイト・ブランシェット等豪華俳優陣が名を連ね一堂に集結した。

では結論を申すと,7人組モニュメンツメン達のアイコン化を喜劇的に構築する一風変わった不安定な英雄像が勝因!!に思えました。彼等の特殊な存在性(機密感)が名作『大脱走』的でもあり戦争背景という枠組みそのものに違う材料を落とし込み浸透させる外連がスバ抜け異質で切り口も整合性が取れない分に斬新。この第二次世界大戦とナチスドイツという二大勢力な重苦しくなりがちな本作にチーム内活劇や小刻みなテンポ感を維持し娯楽性を脚色した時点で勝因なんだとは思う。血汗握る戦闘描写より極端に彼等の場違いな人物像を違う角度から徐に主張した事で本格的な激戦が薄味に配されるも地味目で地道な努力,芸術心が各地に散り芸術品を模索し奪還する単純化された積み重ねの連続を戦争の愚かな欺瞞や醜さを打ち消し見た目は保守的なんだけど彼等が宿す信念や熱意は前衛的に..戦闘不向きな奴等なんだけど自前の観察眼や知恵を絞り敵陣に向かう相反する行動理念の鋭さや美譚故にサクセスストーリー感を受け継ぐ感動や興奮は影響を受ける。略奪や焼失から美術品を死守し是正する既存の人類遺産を再生させ集結する善良的なヒーロー映画な観点でも義務感や責任感を我々現代人に今一度再考させ歴史を再認識させる学習材料な分でも愛着が湧く良作。

結局,戦争映画な題材を脇道に逸れ新種な失われし芸術品を巡る背景に三度の飯より絵画が好きな芸術家たち特殊部隊7人組を戦地の場に落とし込みぎこちなく特殊性を魅せ皮肉っぽく躍らせたのが映画的に愉快で彼等が自らの命を作品の価値性と通わせ次世代に受け継ぐ熱意や意識の高貴さが真の人間ドラマで分厚く描かれ客観視しアツく感動させられた。芸術なくして日々の営みに稀少が微塵も生み出されないとはこの事。人間ドラマでナチス部下とし働かされながらも運び去られた芸術品の行方を克明に記録し続けるクレールとグレンジャーが心の交流を交え開眼する良い雰囲気や酒に溺れ家族や仕事を失ったジェフリーズが命賭けで取り戻そうと苦慮する場面も記憶に残る。戦場悪化の火種ヒトラーの悪行を絵的に些細であるが吸収する材料に適した1作。監視前よりやや斜め上を駆け抜けた後味。勿論,映画内で美術面のリアリティ追求も見事であった。序盤グレンジャーが佇む美術館の画角を広々と格式張った形で設け空間的な奥行きを演出する芸術的な突き抜け度も絵的に最高。軽妙で弱音吐く戦場不向きな奴等が集う極秘裏に介す精鋭部隊の強固な芸術に全てを捧ぐ守護信者な特殊性と深刻な歴史損失に正し真向から問題の前線を描いた奪還作戦の全貌を是非劇場でお勧めです!!
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