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ミケランジェロ・プロジェクトのodyssのレビュー・感想・評価

3.0
【映画に向かない素材かも】

実在のお話を脚色して映画化したものだそうです。

私はいつも言っているのですが、実在の事件をそのまま映画にしても必ずしも面白くはならないんですよね。この法則(?)は、残念ながらこの作品にも当てはまってしまっている。

どうしてかというと、ヨーロッパの名画を戦火から救えという発案でアメリカ人が現地におもむくところまではいいけれど、その後の名画救出隊の活動が映画向きではないからでしょう。つまり、こういう話は例えばスパイ物の映画なら、重要な何かを探し出して奪うというような設定だとすると、そのためにはまず敵方から情報を盗み出すために色々と工作をして・・・というふうに少しずつではあるけれど筋書きが着実に、論理的に進むようになっているわけです。

でもこの映画ではそうではない。情報もいきあたりばったりに入ってくるし、名画の救出も100%成功するわけではない。ナチスドイツとソ連とアメリカ人名画救出隊、それにフランス人などヨーロッパ側の思惑や猜疑心が複雑に絡み合っているところは面白かったけれど、それが映画チックな面白さには必ずしも直結していない。

あと、名画救出隊の各人物の役割がもう少しはっきりと描き分けられていたら、という気がします。その辺、もっと素材から離れて半分以上フィクションにしてしまえば良かったんじゃないのかな。

最近の映画ではヨーロッパ各地が舞台なのになぜか登場人物はみな英語で意思疎通をする、という場合もありますが、この映画ではちゃんとイタリア語、ドイツ語、フランス語、ロシア語などが使われていて、手間暇はかけているなと思いました。でも、魅力的なフランス女性役にケイト・ブランシェットってないでしょう。ちゃんとフランスの女優を使ってもらわないとね。
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