OASIS

ミケランジェロ・プロジェクトのOASISのネタバレレビュー・内容・結末

2.8

このレビューはネタバレを含みます

第二次世界大戦の最中、ヒトラーによる文化財や美術品の破壊を防ぐ為に結成されたチーム「モニュメンツ・メン」の活躍を描く映画。
監督・主演はジョージ・クルーニー。

輸入Blu-rayで鑑賞。
映画的な面白み、盛り上がりに欠けるし、全体的に地味な印象だった。
ただ、その中でもアレクサンドル・デスプラの音楽は一際光っていて、「大脱走」的なテーマ曲が耳に残り過ぎて困る。
緊張と緩和の使い分け、盛り上げなど全ての部分に一役も二役も買っていて、逆に言うと音楽が無ければ淡々とし過ぎていて観ていられなかったと思われる。
監督としては「アルゴ」のベン・アフレックの方が才気があるのではないだろうかと思った。

マット・デイモンやビル・マーレイ、ジョン・グッドマンやジャン・デュジャルダンと豪華なキャストを起用しているが、そのキャラクター達がどうもうまく活かされていなかった様に思う。
ケイト・ブランシェット演じる女芸術家もそれらのキャラとさほど絡まなかったので勿体無かった。

実話ベースという事で、映画のように見つかる見つからないというサスペンス的要素が盛り沢山とはいかず、仲間達が芸術品の為に無残に散っていった事実を描き「芸術に命を賭けて守るほどの価値があるのか」という事を伝えたかったのは分かるが、流石に映画的見せ場を盛っても良かったのではないかと思う。

でも、ビル・マーレイのコミカルなキャラクターは安心感を与える役割として機能しているし、ジャン・デュジャルダンは死に様まで男前。
魅力的なキャラも居るには居るし十分派手に出来そうなものなんだけど、そこをあえて真面目に伝えようとする姿勢は良かった。
美術品に全く詳しくない身としては、面白さは伝わりにくいのだけども。

真面目過ぎる作りで派手なエンタメ系な作品でも無いので、確かにプロモーションしにくかったのも分かる。
だからといって、ケイト・ブランシェットの吹き替えに工藤静香は完全なるミスキャスト。
声質からして高低差があり過ぎるし、我が強過ぎる故に自分を全く消そうともしない演技は聞いてられなかった。
あの声が劇場でかけられると思うとゾッとしてくるし、タレント吹き替え問題にまた新たな黒歴史が刻まれるかもしれなかったので、公開中止は賢明な判断だったと言えるかもしれない。
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