佐藤克巳

ゼロ・ファイター 大空戦の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

ゼロ・ファイター 大空戦(1966年製作の映画)
5.0
黒澤明の秘蔵っ子森谷司郎監督がデヴュー作にして大ホームランをかっ飛ばした。痛快にしてドラマチックな航空戦争映画の傑作中の傑作で、空の独立愚連隊といった印象。新任隊長加山雄三は、沈着冷静な合理主義者で海軍参謀の精神論と対峙していたが、ガダルカナル奪還作戦に協力を依頼する艦隊司令官藤田進、同参謀中丸忠雄の、勝算ある無しに関わらず軍の規律には従う潔さに打たれ、敵の電探基地爆破に参陣する。一方、飛曹長佐藤允は、戦闘的熱血漢溢れた野武士の様な飛行士だが、負傷中で出撃要員から外れ絶望視していた所、整備班長谷幹一が修理したボロ戦闘機に乗って追尾、無事任務を果たした加山機墜落を見送って帰還を誓う。この主人公二人の他、江原達怡、小柳徹、千秋実等個性的俳優陣の熱演の素晴らしさと、円谷英二特技監督の臨場感ある空中戦特撮の見事さは他に例を見ない出来映えだった。
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