とらも

ポニョはこうして生まれた。のとらものレビュー・感想・評価

2.7
昔1日かけてみた記憶がある

インタビュアーが不勉強かつ勘が悪くて宮崎駿が途中から露骨にこのインタビュアーを軽蔑し見捨てる。旅館に自分を缶詰にしボニョの核心とはなにか自分を追い込んでる宮崎駿はどうでもいいことを聞いて邪魔してくるDにイラつきもうついてくんじゃねぇとブチ切れる。Dが謝罪し、なんと撮影が半年中断する。(この中断の間に起こったことが見れないのはドキュメンタリーとして本当に欠陥)

再開の後はきつい。会社(NHK)の仕事として派遣されてる会社員が何をしたらいいのかよくわからない中でなんとか仕事をやり続けようとしてるので胸が痛くなる。そしてポニョについては他のスタッフの情報が多くなり絵コンテに関してはほとんど追えなくなる。もののけ姫のドキュメンタリーでも完全に追えてたわけではないけどさ、一番見たいのはここじゃんか。

しかしながら、Dが宮崎駿と対話できるレベルにいないからこそドキュメンタリー冒頭はむしろ他の人は聞かないような基本的な質問を山ほど宮崎駿に浴びせておりその答えは他では見れない貴重なものがあったはず。こういうとこがあるから面白いね

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宮崎駿の天才性を見たい、その過程で彼は何を考えているのかがみたいからメイキングなんかを借りようと思うわけだ

この作品はDの一人称で本来は優秀なDが潜入し宮崎駿を篭絡し徐々に宮崎駿の天才性を突き詰めていくとばっちりはまるスタイル。つまり視聴者はDに同化することで宮崎駿の天才性を「目撃」することができるという。

でもこのドキュメンタリーは一番最悪なことに宮崎駿にキレられるんですよ。もうこれ以後宮崎駿は絶対に心を開かないわけで。再開に至る過程に色々な大人の事情があったんでしょうけど、見てるこっちとしては一人称の役割が違う意味を帯びる。Dがもはや不可能となったベストな作品の影を追ってなんとか仕事をしようとしてるという、ブラックの不可能なノルマと戦う営業を見せられてるようなそんなドキュメンタリーへ。

内容的にもはや効果のないのに同化を強いる構成を崩さなかったDにそれでも共感できる優しい人は乗れるんでしょうけど、ドキュメンタリーとしては駄作。
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