ちろる

グレイ・ガーデンズ 追憶の館のちろるのレビュー・感想・評価

3.7
華やかに着飾って、歌と踊り、楽しい事ばかりを詰め込んだらもう他には何もいらない。
そんなふうに贅の限りを尽くして過ごした母と娘の栄光と衰退。
ジェシカラングとドリューバリモアの老けメイクが結構リアリティあってぞっとした。
恐ろしいほどに荒れ果てた家もかつては楽園のように鮮やかで、皆がパーティのたびに彼女たちを囲んだが、老いて臭うような荒れ果ててしまったグレイガーデンに住む2人を讃える人はもう誰もいない。
2人の頭の中の世界だけは、華やかな そして注目されていた頃の自分たちがいて、貧しくなり老いてしまった自分たちには向き合うことができない。
そんな虚しさと少しな滑稽さが絶妙に織り交ぜられた映像の表現力は素晴らしかった。
彼女らの罪は少しの愚かさ。
男たちが100%悪いとは言わないが、彼女たちの純粋さは彼女たちを取り巻く男たちの姑息さとは噛み合うはずもなく、純粋さとは愚かさと同義語なのかもと思い知らされる。
恥ずかしながらラストまで彼女たちが実在していたのだとは知らず、かなり映画的なこんなストーリーがジャックリーンの身近で起きていたのだということに驚かされた。
映画の中のジャックリーンは割と柔らかく彼女たちと接するが、実際はどんな気持ちでいたのだろうか、、、少し気になるところである。
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