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グレイ・ガーデンズ 追憶の館のSPNminacoのレビュー・感想・評価

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朽ち果てたお屋敷グレイ・ガーデンズに暮らす母と娘2人のイーディ。ドキュメンタリーを撮影するカメラに語られる、かつての若く華やかで残酷な日々。結婚と自由を同時に叶えようとして失敗した母は、娘を自分と同じように挫折へと誘い、永遠に閉じ込めた。絶望と共に屋敷に囚われた娘もまた、現実に目を背けた。ファースト・レディへと上り詰めた姪ジャッキーを横目に、ゴミ屋敷猫屋敷に落ちぶれたイーディ母娘の上流社会から弾き出されたような惨めな老後。
愛と憎しみ、自由と孤独は表裏一体。2人とも少女のように無邪気、だがゾンビのようにどうしようもない腐敗臭が漂ってくる。武士は食わねど…みたいにプライドだけは高いけど、霞を食って生きるのも楽じゃない。ていうか、あの環境ではまず病気になりそうな…。但し生活力は無くても、ある種の強さが備わっているのかもしれない。こんな私に誰がした?と呪いながら、こんな風にしか生きられない。現実逃避の限界を知ってはいるが、歌とダンスがあれば夢を見続けられる。お互いに依存し合う母娘の絆は、どんなに醜く荒れ果てようが誰も侵害できない聖域に在る。
ドキュメンタリー映画の方はわからないけど、こちらのドラマはありのままの現実を超えてファンタジーに昇華させていた。2人を再現したジェシカ・ラングとドリュー・バリモアは、輝ける若き日と没落した老けメイクが恐ろしいほど極端でハマってる。“優雅な生活が最高の復讐である”という言葉を思い出す。
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