ピクサーによる2005年の短編。それまでのいかにも3DCGアニメの実験場といった趣きの作品とは違い、一見して絵画的な深みがある。そして、4分しかないのにしっかりしたストーリーがあるのも特徴だ。
中世風の街中で、2人の大道芸人が、少女の持つコインが欲しくて、目を引くような演奏を繰り広げる。3人の反応が次の展開に繋がる小気味良いテンポと、やはり大人を意識したメッセージ性。
監督のマーク・アンドリュースは、なんとあの「アイアン・ジャイアント」の制作にも携わっていた人物なのだそうで、この後に「レミーのおいしいレストラン」にもストーリースーパーバイザーとして参加している。
「トイ・ストーリー」から10年を経て、深みのあるストーリーにも着手するようになったピクサーの傾向を伺い知ることができる作品だと思う。