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ドレミファ娘の血は騒ぐのandesのレビュー・感想・評価

ドレミファ娘の血は騒ぐ(1985年製作の映画)
3.7
奔放で無邪気なゴダールパロディーであり、その青臭さや稚さも含めて、可愛らしい仕上がりになっている。なんとなく大林宣彦の『HOUSE』的なチャーミングさがある。
怖い映画を撮る人はユーモアが必須なので、例にもれず黒沢清もセンスがある。この初期作では、それがストレートに発揮されている。登場人物がみなバカなのが非常に良く、よく分からん問答、エロ実験、大学自体もバカである。
ただ、冷笑的ではなく、妙な楽しさが感じられるのは健康的で宜しい。「風は平等に吹く」という台詞を、それこそ映画的に、かつバカに撮るのも見事。
桐口依子の魅力が全開で、シュールな映像の求心力となっている。こういう映画ではヒロインの変な可愛さが重要なのだ。
さて、終盤でクレーンカメラが映り、スモークが焚かれて「現実」が表れる。その後、モラトリアム学生たちは社会の厳しい「現実」という凶弾に一人ひとりと倒れるのであった。一方、大学から「帰る」選択をしたヒロインは、被弾しながらも銃を手に生き残るのだ…。なんてね(笑)。
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