ゆっけ

鑑定士と顔のない依頼人のゆっけのレビュー・感想・評価

鑑定士と顔のない依頼人(2013年製作の映画)
4.5
初めて恋をした童貞おじいちゃん。予想もつかない結末に切なさなの余韻が残る。

○簡単なストーリー説明:
主人公の童貞のおじいちゃんは63歳。腕利きの美術鑑定人、また、オークションの進行係のお仕事をしています。自分の部屋に沢山の女性の肖像画を眺めるのが大好きです。そんな”オタク”なおじいちゃんが、ある女性に恋します。アプローチしていく姿が可愛くもあったり、時には怖かったりします。そんなおじいちゃんに待っている結末とは、、、、。

○感想:
この映画はイタリア映画ですが、英語にすると”The Best Offer”となっているみたいです。
その意味を調べてみました。美術品のオークションの進行をしているという文脈に合わせると、
「最高値の入札(競売での落札値)」というのが正しいと思います。

本物と贋作を見分ける力を持つおじいちゃん。そのおじいちゃんがじっと見て恋に落ち、自ら手を挙げた(The Best Offer)女性は本物なのか??

ミステリーなので、いろいろ予測しながら見ました。でも最後の最後でおじいちゃんと同じく茫然としてしまいました。(あのシーンは本当に素晴らしい)
見る人によっては、すっきりとは終わらないかもしれません。もしかしたらもう一度ちゃんと見ると自分なりにすっきりするかもしれません。

恋愛ってつくづく経験だなぁって思います。女性に恋する男性は特に。それだけ女性の心は難しい。いろんな失敗や痛い目を遭いながらでしか良い人にも、その目も養えないと思います。そういう意味ではまだこのおじいちゃんにはそれがなかったのかな。。。その痛みを知るにはあまりにも歳をとりすぎてしまった感が否めません。だからこそ切ない。そして、あのラストシーンを見るとさらに胸が痛くなります。(おじいちゃんの”愛”は本物だよ)

でも、結末はわかりません。

余韻がとても残る良い映画でした。

この映画の監督は、「ニュー・シネマ・パラダイス」 (1988)「海の上のピアニスト」 (1998)の監督ですが、この2つの映画みたいなテイストではありません。

でも、リアルでとても考えさせる映画でした。
伏線の貼り方が素晴らしいです。
ゆっけ

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