このレビューはネタバレを含みます
美術鑑定士である主人公が、ある人物からの鑑定依頼により幾度も屋敷を訪れるが、依頼人は一向に姿を現さない、ミステリー作品。
どんでん返しものではありますが、スッキリ感とは反対のビターエンドな作品でした。どのような感想を持つかは人によると思います。
人を拒み続けてきた主人公ヴァージルが、一時でも本当の愛を感じることができたから良かったのか?
人を拒み続けてきたツケが回ってきて、全てを失ってしまったのか?
「いかなる贋作の中にも必ず本物が潜む」という大テーマがあり、暴漢に襲われたヴァージルを助けたときの表情からも、クレア(偽)が情を持ってヴァージルに接していたことはおそらく間違いないと思います。(それがいわゆる恋愛感情かどうかはわかりませんが)
ヴァージルにとってみれば、因果応報に他ならないわけですが(ビリーの絵をちゃんとみていれば、踊り子がビリーの書いた絵だと気が付くはず)、それでも人を愛することを知ることができた、という成長?が描かれていたように思います。
ビターな作品で感想が分かれると思います。