ひねくれはちゅう類

鑑定士と顔のない依頼人のひねくれはちゅう類のネタバレレビュー・内容・結末

鑑定士と顔のない依頼人(2013年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

あらすじ
このミステリーは難しすぎる


登場人物の大半が敵という、ある意味最初から詰んでる主人公の騙され話。
顔のない依頼人こと偽クレアさんがスーパー美人なうえに猫みたいな感情の起伏で主人公をひっかきまわすもんだから、僕の童貞特有の小悪魔レーダーがビビビっと「この女は危険!警戒!警戒!」と反応しまくりんぐ。主人公のおじさん、童貞力が足りないんちゃうか?
気づけよ!15の時から12年も男と会ってない女性がおじさんの前で裸で風呂には入らない!あんなえっちな騎乗位もしない!

が、この物語の難解極まるミステリーの本質は、むしろこの小悪魔にある。

正直、相棒ビリーの裏切りは何となくわかった。個人的には、あの部屋に入ったら絵が全部盗まれている代わりにビリーの絵が一枚飾られているというラストを想像していた。ちょい違ったなー。
ロバートは全然わからなかったがまあしょうがない。伏線を指摘されれば納得はいく。

でも小悪魔クレアさんには謎が残されている。

それは、偽りの愛の中に真実の愛があったかという謎。

この映画には3つの台詞が登場する。
「贋作の中にも真実がある」
「芸術も愛と同じく偽れる」
「贋作者は贋作に印を残す」
さっき見たばかりなのにうろ覚えなのは内緒だ。

3番目は主人公。2番目はビリーの言葉だ。1番と2番は相反する関係にあるのは見ての通り。1番は誰だっけ?ロバートと主人公の会話?

もし2番目が正しいならば、クレアはあっぱれスーパー小悪魔の称号を得ることになり、あわれ主人公は童貞と引き換えに絵を奪われてクレアを待ち続ける人生となる。

しかし1番が正しいとしても地獄だ。何故ならば1番が正しいとしても3番が正しいとは限らず、3番が正しいとしてもクレアの言った「プラハのナイト&デイ」が贋作のなかの印とは限らないからだ。

あの感じだと、主人公は一生あの店で待ち続けるのだろう。引っ越しもしたし。ばかだなぁ。でも待つんだろうなぁ。主人公は直感的にクレアのあの台詞は印だと思って、そして真実の愛があそこにはあったからきっとこの店に現れると賭けたんだろうなあ。

で、正直、クレアに真実の愛があったかどうかはわからない。ある派が多いみたいだけど、個人的にはないだろうと思う。てか、仮にあったら盗まないだろ!愛はあるけどきっちり盗みましたなら、それは小悪魔じゃなくてサイコパス。小悪魔よりも恐ろしい。もう会わないのがハッピーエンドよ。


だから僕は、主人公のためにナイト&デイが案外リーズナブルでかつ美味しいお店であるというハッピーエンドを祈る。