こぅ

街は自衛するのこぅのレビュー・感想・評価

街は自衛する(1951年製作の映画)
4.5
'22 2/21 ジャケ写掲載していただきました。

フェデリコ・フェリー二脚本、
【鉄道員】のピエトロ・ジェルミ監督による、同年ヴェネチア
国際映画祭 最優秀作品賞受賞作品で、緊迫の【クライム
・サスペンス】。


サッカー競技場で売上金を強奪した4人の男のその後を追う
…。


犯行メンバーが誰で、集められた経緯等掘り下げを端折り、
極力短尺に切り詰めた印象。
その分、犯行後のドラマに充てられていて、79分ながら
120分くらいに感じた。それは悪い意味の長さではなく、
中身の濃厚(充実)度で。

4人中、犯行は3人で、1人はドライバー、現金詰めたスーツ
ケースは2つ。犯行直後、警察に追われ、車を乗り捨て、
バラバラに散らばって何とか逃げ切るが、、

リーダー的存在の元サッカー選手、パオロ(レナート・
バルディーニ)が、2つのケースの行方を追う。

内1つは、貧乏画家グイード(ポール・ミューラー)が、
ある場所に保管。

もう1つは、独身若造アルベルト(エンツォ・マッジオ)が
持っていて、噴水のある池から発見。

皮肉にもこれが 後々悪影響を及ぼす 展開が面白い。

お目当ての【ジーナ・ロロブリジータ】は、パオロの妻、
ダニエラ役で、少ない出番ながら相変わらず魅力的。
この夫婦には子供はいない。

ドライバーのルイージ(ファウスト・トッツイ)は、妻子
持ち。遠くに逃げて何とか再出発をと考える。

子供がいる、いないで、妻の対応(将来性)の対比が面白い。

ルイージ、グイードの末路は、、


クライム物でも最後の最後までスリルを維持しながら緩急的
役割か、グイードの描いた◯女の肖像画エピソード、犯人らの
家族愛、ラストの親子愛に着地といった、程よいハート
ウォーミングを組み込んでくる贅沢な脚本が上品で、イタリア
らしく素晴らしい‼︎

短尺でテンポ良く展開するが、決して雑でも急ぎ足にも感じ
ない、寧ろ丁寧にゆとりさえ感じる仕上がりは稀で、マジック
的感嘆だ‼︎

老若、犯罪には容赦無い‼︎という警鐘的にも捉えられる余韻。

映画はダラダラさせず、約80分有ればテーマを絞って、
観る物を充分満足させられる、製作出来る証明‼︎
こぅ

こぅ