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未来忍者 慶雲機忍外伝のうにたべたいのレビュー・感想・評価

未来忍者 慶雲機忍外伝(1988年製作の映画)
3.4
雨宮慶太氏の初監督作品として有名なオリジナルビデオ作品です。
物語が始まるやいなや、武士というよりランボーのような出で立ちの男たちが、「わーわー」言いながらサイボーグ忍者たちに切りかかります。
時にはレーザービームを放ちながらの決死の奮闘、そして現れる巨大ロボ、飛び交う光線の中、あくまで刀で戦いあう男たちとサイボーグ忍者の合戦に、開始早々なんとも言えない気持ちになります。

"未来忍者"というタイトルなのですが、作中は未来なのかいつの時代なのかの説明はなく、サイボーグ忍者「機忍」や光線銃、昭和特撮の敵役のような幹部が、一応時代劇ライクな舞台に混在する世界での出来事となっています。
本作は先に同タイトルのアーケードゲームがあり、それを原作として作られましたが、映画祭に参加するためゲームの発表より先に上映されたという経緯があります。
タイトルに"外伝"とついているのはそのためなのですが、原作のゲームありきの内容ではなく、ゲームの方は知っていなくても問題ないと思います。

ストーリーはシンプルで、"機忍"というサイボーグ忍者を率いて周辺諸国を侵略する黒鷺軍と、その侵略に対抗する諏訪部家があります。
先の合戦により諏訪部家一の剣豪「飛勇鶴」が倒されており、諏訪部家には唯一の対抗手段として、巨大な機動砲のみがあった。
そんな折、諏訪部家の姫「サキ姫」が、黒鷺軍に拐われてしまう。
サキ姫救出のため、傭兵「赤城」が雇われる。
彼は飛勇鶴の弟「次郎丸」を含む5人の精鋭を引き連れて、黒鷺軍の奇械ヶ城へ奇襲に向かう、という展開です。
赤城は油の乗ったおっさんで、"未来忍者"よりも赤城が主役のような立ち回りをします。
また、彼らとは別に黒鷺軍を抜けたはぐれの"機忍"がいて、「白怒火」という名の彼は、自分の肉体を取り戻すため奇械ヶ城を目指しています。

「白怒火」の造形は、さすが雨宮慶太という感じで、スタイリッシュでとてもかっこいいです。
敵に捕まって改造されたが、組織から抜け出して悪と戦うという"仮面ライダー"を彷彿とさせる設定ですね。
敵幹部のデザインも雨宮慶太的です。
特に機忍のボス「稲荷」などは、登場シーンは少ないですが印象に残るデザインでした。
白怒火や機忍等の設定やデザインをみると、すごくらしさを感じます。
ダークファンタジーに時代劇が混じった、独特の雰囲気が強い内容で、氏のファンであればみるべき作品だと思います。

一方で、作品として面白かったかというと微妙です。
デザインや雰囲気、やりたかったことはわかるのですが、最初から白怒火と黒鷺軍にスポットをあててたら良かったのかな、どこかごちゃごちゃした感じをうけました。
赤城は精鋭部隊を連れて敵の城に攻め込むのですが、この精鋭部隊が次から次へと倒されていきます。
最初から赤城一人で行けばよかったのではないかと、当初から盾にするつもりだったのだろうか。
いまいちテンポが悪く、途中で飽きがきてしまいました。
雨宮慶太ファンであれば良さを感じられると思いますが、それ以外の方にはちょっとおすすめできないですね。