滝和也

大奥十八景の滝和也のレビュー・感想・評価

大奥十八景(1986年製作の映画)
3.4
百花繚乱

時は正に昭和元禄。
突如蘇りし、東映艶劇…
 
舞台は正に元禄の世に
移り変わりし大奥。

美しく…かくも悲しき…

「大奥十八景」

バブル期に唐突に作成された東映ポルノ路線の現在での最終作。私もこれ記憶にありますからね。70年代に何作か作られ中断していたこの路線。かなりトチ狂った設定や奔放過ぎるシナリオで思わず、笑ってしまう艶笑喜劇が多かったんですが…これは以外や意外、真面目に作られてます(笑)

将軍と言う唯一無二の存在の為に作られた花園である大奥。3000人の女が一人の男に仕えると言う歪な世界に翻弄された女達の物語になってます。

その衣装、舞台の絢爛豪華さは嘗てのその路線を超えんとし、女優の質もかなり高い。バブル期ならではの豪華さと言っても良いでしょうね。

そんじょそこらのAVやポルノとは違い、兎に角、絢爛豪華に女優の裸を美しく、セクシーに撮る事に集中してる。東映ポルノ路線の先駆者である鈴木則文監督の面目躍如。

その演出は馬鹿らしくも、芸術的。オープニングは上様が鷹狩の最中に見初めた市井の美女と高原でいたし始め、突如空撮に切り替わり、どんどん引いていき、題名クレジットドーン!ってドローンなんか無い時代だからヘリ空撮(笑)他、突然世界が止まったり、どの致すシーンも何らかの演出が加えられ、エロスを増幅しながらも美しいのが特徴なんでしょうね。伝統の大馬鹿なシーンは奥女中総出の裸綱引きくらいですからね。

その女優陣もアイドルから転向、新人、日活ロマンポルノから掻き集めた美女揃い。肉感的な方からスレンダーまで全て取り揃えてます。因みにキーとなる役に野村真美さんが出演。後の橋田ファミリーの方です。辻沢杏子さんもアイドルからの転身作品です。確かミスキャンパスの方もいたりしてまぁ綺麗だわ…(笑)

因みに裸を見せる為には相手がないと行けないわけで…(笑)種馬扱いされる悲しき4代将軍家綱に助さん、あおい輝彦。前半の狂言回しが彼で後半は勝野洋演じる堕胎医幻士郎が相手を努め、ベンガルが相棒。この3人がまぁ羨ましいと言うか美味しい(笑)ちょっとした剣劇もあってエンタメに華を添えてます。

30年以上ぶりに見たんですが…全くストーリー覚えてなかった(笑)予想外に真面目なので、70年代のノリで見ると辛いかもしれませんね。ただただ…綺麗な女性の裸が見たいと言う部分ならば、それも良しな作品ではあるんですが(笑)
滝和也

滝和也