アランスミシー

On Your Markのアランスミシーのレビュー・感想・評価

On Your Mark(1995年製作の映画)
-
宮崎駿って本当に全てのモチーフを一つ残らず考え抜いて配置してたんだな。
このたった6分間でさえこれだけの情報量が詰まってる。ならば『君たちはどう生きるか』がどれだけ重大な映画であるかみんな理解して貰えるはず。
甘く見ていた自分が本当に情けないし、いつか彼に会うことがあれば謝罪と感謝を伝えたい。


羽の生えた少女  =フランス革命以降、アメリカ独立運動〜南北戦争〜第二次世界大戦〜現代まで続く自由と民主主義を象徴する自由の女神

前半の宗教団体施設=金を崇拝する資本主義社会(その証拠として発見された少女の隣には飲まされたコカコーラが落ちている)
後半のガスマスク組織=ソ連&中国(その証拠として、脱出するトンネルの中国語サイン、石棺で覆われたチェルノブイリ原発、その他原子炉が背景に連なる)

アメリカンドリームを謳って世界中から移民を集めた米国保守派は結局白人至上主義や階級社会存続の為、自由をダシにして労働者階級や社会的弱者を独裁的に支配して来た、

そこへ各国の労働者階級はソ連を筆頭に革命を起こして再び自由を資本主義社会から奪い返したものの、結局信頼して主権を委ねた共産党トップはその自由というシンボルを再び独裁の為に利用し始める事となる。

そんな自由というシンボルを再びあるべき場所に返すべく立ち上がったチャゲ&アスカ扮する2人組は自分の所属元であったはずの共産党から自由を盗み出す(盗むといえばルパンだから走り方がソレになってるのは粋)。
そしてようやく2人は自由の女神を野に放つ事に成功する。