芦塚あきひろ

アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロンの芦塚あきひろのレビュー・感想・評価

4.5
これだけたくさんキャラクターが登場しながら、誰がどこで何をしているのか混乱しないのはやっぱりすげえなと思う。

1回め見た時に、自分がいかにぼんやり見てたかが分かる。よく練られて整理されたシナリオだった。

ハルクことブルース・バナーとブラック・ウィドウことナターシャ・ロマノフの恋愛がしっかり描かれている。

ブラック・ウィドウの過去のシーンで彼女が受けた仕打ちが酷い。彼女の過去の心の傷をえぐり、アイアンマンの中にある、仲間や世界を守れないのではないかという恐怖心を増大させるスカーレット・ウィッチは恐ろしい子であった。

ちなみにブラック・ウィドウの回想シーンに『ビフォア・サンライズ』のシリーズのジュリー・デルビーが出ているのに気づいた。ブラック・ウィドウ単独主演作にも出演するのだろうか。脇役にも豪華な人が出てるなあ。

皆を混乱させたスカーレット・ウィッチを、実はリア充極まりなかったホークアイが戦闘中に励ますシーンが超素敵。自分の幸せを掴むことも、ヒーローには大切なのかもしれません。

クイック・シルバーも良かったなあ。僕は走るのが好きだから、足が速い!それだけ!みたいなキャラクターがせっせと人助けをするシーンはとても好きだ。

物語としては、心の隙につけこまれたトニー・スタークによって生み出された敵、と味方が興味深い。ヒーローとしての重圧がジキルとハイドを誕生させたわけだ。
1回めに見た時は、トニーお前のせいだろ反省しやがれと思ったが、アイアンマンシリーズとアベンジャーズ1作めを短期間に追ってから見ると、彼の心の疲弊がより深刻に感じられ、同情する気持ちのほうが強い。

全てが前作よりもスケールアップしていて、派手だし、バラエティ豊かな作品になってる。偉い。

よく考えると、自分たちの持っている力をいかに正しく使うかを、アイアンマンを中心に全てのヒーローが悩む、という構図は、アメリカ製のこのヒーローシリーズにおいて、あるべき姿なのだろうと思う。1作めからずーっと力と正義について葛藤する物語だ。
それを主題にしている物語はものすごくたくさんあるが、このシリーズは、力がもたらすカタルシスとカッコよさで観客を魅了しているから、シナリオの練り込みも受け入れられているのかもしれない。

1回めを見た時の僕のように、ボンヤリ見てても、今回みたいにストーリーや作られた背景に思いを馳せても楽しめる。
アメリカの映画文化の成熟ぶりには、やっぱり素直に憧れてしまう。
芦塚あきひろ

芦塚あきひろ