タイタニックで主演を務めた、あの有名なケイト・ウィンスレット主演。
そして、シングルマザーという自分と同じ境遇などに興味があり鑑賞。
息子のヘンリーを女手一つで育てる、ケイト・ウィンスレット演じるアデル。
見た感じ裕福ではないが、心優しく頼りがいのあるヘンリーと、優しさに溢れた母アデル。
ある日2人が買い物に出かけると、買い物先でヘンリーが怪しい男性に声をかけられる。
男性は、『車に乗らせろ』とやや高圧的だが優しい雰囲気で彼に言う。
不信に思う親子。
だが、無理強いをされ、車に乗せ、自宅へ。
そこで、その男性が殺人罪懲役18年の、脱獄犯だと知る。
男性は、なんでもするので匿って欲しいとアデルに頼むが、信用がない、とアデル。
男性、『殺意はなかった』と主張し、あくまで腰は低く アデルを縛る。
そうすれば、いざ警察が来ても、アデルは襲われたなどと言えるからだ。
食事を作り、縛ったアデルにご飯を冷まして食べさせてあげる男性。
食事作りから掃除、車の修理、ヘンリーの野球のレクチャー、色々こなす脱獄犯。
次第にアデルは男性に惹かれていき・・・
3人でパイを作るシーンは、新しい家族のようにも見えた。
ヘンリーがとてもよく母を見ている。
いつも優しい眼差しで見守ってあげている。
夜、男性は、そろそろ行くと言い出ていこうとするが、引き止める親子。
『先に傷を治しなよ』とヘンリー。
『ここにいて』とアデル。
その夜アデルと男性は身体を重ねた。
ヘンリーは気付いていた。
洗濯とアイロンがけをする男性に、アデルはダンスを教え、バーベキューをしようとヘンリーに買い物を頼んだ。
月に一度しか買い物に行けないヘンリーにとっては、ワクワクしたように見えた。
が、次第にヘンリーの顔色はどんより曇っていく。
お母さんが知らない人、しかも脱獄犯に取られる寂しさが、その表情から分かる。
そんな中彼が図書館で出会った少女は、境遇が似ていた。
『男を追い出すべきね。じゃなきゃあなたが追い出される。』と助言する少女。
”脱獄囚の情報で懸賞金1万ドル"の新聞の文字を眺めるヘンリー。
前のお父さんたちと食事に行くヘンリー。
たち、とは父親の新しい家族。
この状況から、父親は再婚したと見られる。
平凡で幸せそうな家庭に見えた。
自分と同い年の、種違いの兄弟を、羨ましく思うだろう。
と個人的には思った。
ある日、話しておきたいことがある、とヘンリーに話すアデル。
話しておきたい、と言うのだから、ずっと連れ添ってきた息子にも相談せず勝手に決めた、勝手な報告だ。
『パパと別れて私は一生独りだと思ってた。でもあなた以外に愛せる人ができた。カナダで人生をやり直そうと思うの。行くことに決めたわ。』と母。と横にいる他人。
『僕はどうなるの?』と涙を浮かべるヘンリー。
『3人で行くのよ。学校をやめないとね。』と母は抱きしめる。
家族になれば警察は疑わないだろうと脱獄犯は言う。
母アデルは前日になり、男性に辛い過去を話す。
何度も流産して、もう子供を産めない身体になってしまったこと。
外で妊婦をみるたび辛くなり、引きこもりがちになったこと、それで前の夫が出ていったこと。
ありのままをすべて話す。
迷ってるなら今しか引き返せないぞ、という男性に、『あなたと行く』とまっすぐのアデル。
君を救いたい、と男性。
そんなあるとき、サイレンの音はした。
ついに警察が来たのだ。
男性は、アデルとヘンリーを優しく、だけど強引に、椅子に縛り付けた。
アデルもヘンリーも涙を流した。
懲役と誘拐罪で25年ほど。
また刑務所へ。
アデルは何も手につかなくなった。
法律事務所に駆け込み、弁護士に、自分たちは誘拐されたのではないことを訴えた。
が、養育権がとられる可能性もあるのよとなだめられ、虚しく終わった。
刑務所にも何通も手紙を送ったが、全て刑務所の印鑑が押され返送されてきた。
面会も許されなかった。
やがてアデルは、ヘンリーを元夫に託した。
ヘンリーは高校生になった。
母のもとに戻りたいと父に言うと、快くOKしてくれた。
ヘンリーも大人になり、アデルもしわが増えた。
ある日、職場にいるヘンリーの元に一通の手紙。
あの男性からだった。
“アデルが今でも独りならば”
“アデルを傷付けるようならこの腕を切り落とす”
そんな内容だった。
ヘンリーは結婚したのか、横にいる女性と、優しい眼差しで手紙を読んでいた。
ヘンリーは刑務所に返信を送った。
『今もあの家に住んでいると伝えて』と。
アデルはさらに皺も増え、年月の経過を感じる。
そんな彼女のもとに、老いたが渋みを増した男性が現れた。
抱きしめ合い涙を流す2人でハッピーエンド。
・・・うーん。
文にしてみるとかなり重く感じるが、共感できる部分もあり、深みを感じながら見入ってしまった。
こんなに入り込んだ作品は久しぶりかも。
所々、同じ母親として、共感を抱きながらも劣等感や罪悪感に苛まれたりするシーンもあった。
ヘンリーはいつもアデルを見守る天使のようだけど、きっと孤独や寂しさはあったのかな、とか。
自分はさておき、お母さんが幸せなら、と感情を押し殺したのかな、とか。
色んなことを考察、推測してしまう。
単なるラブストーリーとして観るか、子供よりも、常識とはかけ離れた恋愛をとった酷い母親の映画として観るかは個人によると思う。
ヘンリーが道を踏み外さなかったのは、やっぱり母の愛情深さとか、ヘンリーの優しさや道徳心なのかな。
とても考えさせられる作品だった。