しーかず

とらわれて夏のしーかずのレビュー・感想・評価

とらわれて夏(2013年製作の映画)
3.9
ツッコミどころが多いストーリーや展開ではあるけど、フィクションだからこそ成せる映画の良さもあり、80年代アメリカの夏のスモールタウンという世界観が個人的にどストライク。脱獄した殺人犯を匿うというスリラージャンルではあるんだけど、どちらかというと人間ドラマの色が強い。心を傷を抱えたケイト・ウィンスレット演じるアデルが脱獄犯のフランクと過ごしていくうちに愛を思い出し活気を取り戻していくところはグッとくるし、息子ヘンリーの別居している父やその子供たちとの微妙な関係性も絶妙に描かれていた。フランクがバレそうになるシーンも何度もありハラハラ感も楽しめる。父親とその家族は序盤から少しヘンリーにとって嫌なのかなって感じで描かれてたんだけど、終盤でアデルを誰よりも強く愛していたことをヘンリーに告げるシーンは痛いほどリアルで胸がギュッとなったし、結局悪人はいなかった。少し地味だけど不思議な世界観と、じわじわと胸が締め付けられるような良さがある作品で、個人的にはかなり好き。
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