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チャイニーズ・オデッセイ Part1 月光の恋のHALのレビュー・感想・評価

3.7
チャウ・シンチーが愛とロマンの新解釈で「西遊記」をやり、しかも二部作でタイトルが『チャイニーズ・オデッセイ』というのだからどんな大風呂敷を広げるのかと思いきや、蓋を開けてみれば武侠映画ふうのいつものドタバタコメディという感じ。しかしこの作品が「月光の恋」から「永遠の恋」に至る恋と恨みと運命に翻弄される姉妹(色々あるのだが時空によって仙人だったり妖怪だったり人間だったりする)がとにかく可愛い。チャウ・シンチーってむかしから女優をチャーミングに描くのがうまいと思う。けっこう漫画的な、それこそ頬を膨らませてふてくされるような表情も多いのだが、それがこんなに愛くるしく見えるのは作品世界の持つバカバカしくもどこか真っ直ぐな空気感のなせる業だろう。ギャグのオンパレードで爆笑していたら恋人が裏切られたと勘違いして自殺を図り、「月光の箱」(かなりのキーアイテム。時空を超えられるが、特に説明はない)で時間を戻して止めようとするも間に合わず、やり直しだ!というのを大分しつこく繰り返す、笑っていいのかわからない展開のあげく舞台は500年前へ……というところで第一部は終わる。投げっぱなし過ぎる終わり方だが、第二部はさらに複雑なプロットの末に大団円にいたる傑作だったので、二本続けてみるのがいいと思う。この内容でどっちも80分ちょいというのもちょっとすごいよね。
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