岩ちゃん

進撃の巨人 ATTACK ON TITANの岩ちゃんのレビュー・感想・評価

進撃の巨人 ATTACK ON TITAN(2014年製作の映画)
4.0
「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」《良作》
「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド・オブ・ザ・ワールド」《凡作》

その日、人類は思い出した。
ヤツらが実写化していた恐怖を…
案の定ダメ映画になった屈辱を…

監督、脚本、スタッフ、プロデューサー、原作者、俳優、諸々のカオスによって生まれし怪作

これを語ると長くなるからできるだけ簡潔に…
とりあえず、映像・特撮に関しては邦画の中でもトップクラスの出来だと言っていい。日本では完全CGで作れる予算が無いのと、安っぽいCGでは巨人の気持ち悪さと恐怖が伝わらない。そこであえて特撮として撮ることで生まれた不気味さは原作をも超えてる

そして「サンダ対ガイラ」を彷彿とさせる圧巻の巨人同士の闘い…
これは特撮オタとしては拍手を贈りたいくらいの出来
完全CGにせず、特撮にしたのは正解だと思う
アニメ版と比べても巨人戦の迫力は凄まじい、特撮だからこそよりリアルな質感が堪らない
超大型巨人の迫力も原作を超えてる…

今作で映像面だけが素晴らしく、それ以外がお粗末な結果になったのは、樋口真嗣が『進撃の巨人』の特撮的魅力(立体機動装置や巨人)にしか興味が無いからだと思われる。ファンであればご立腹となる設定やシーンも、監督自体がファンじゃないから愛がこもっていない、ただの樋口の特撮オ○ニー映画である

役者の演技に関しては、下手な人と上手い人の差が激しい…
長谷川博己のような、役のせいで変な演技なってる犠牲者もいる。
三浦春馬に関して「ギャーギャーうるさい」という意見も見かけるが、原作のエレンもそんな感じじゃね?自分はアニメのキャラが3次元に飛び出したくらい役になり切ってて好感…

長谷川博己に関しては不自然でキショい。リヴァイを基にしたキャラだからこその演技かもしれないが…やっぱキモい。役を演じ切る姿には好感が持てる。やはり樋口の演技指導や演出が悪いと思うが、実際にリヴァイがそのまま実写化したらあんな感じでキモいんだろうなぁって思ったら何も言えなくなったw

三浦春馬、長谷川博己、石原さとみ、本郷奏多、國村隼などは演技の出来関係なく役をやり切っていて、実写化の演技としてはアニメのイメージを崩していないのがかなり良かったと思う。
水原希子に関してはただのコスプレ…当時は役者の経験が浅かったのもあるが、もっとマシなキャスティングできたろ

サシャ役の桜庭ななみは個人的に大好き(ただの好みw)なんだが、キャラが全く生かしきれていない…
無駄なシーンやほとんどセリフなし、なんてもったいないんだ…
これは樋口がカットしたのか現場での演出なのか、脚本にそもそもキャラの深掘りが無かったのか、どちらが悪いのかはわからない…

結局スピンオフドラマでサシャを深掘りするという、俺の超大嫌いな後付け展開(クソ日テレとクソHuluみたいな)
この映画の製作部自体が腐ってる、金と契約しか目に無い、原作への愛も微塵もない腐り切った製作体制。監督の樋口や脚本のM氏だけに責任を擦りつけるのは違う。この映画に関わる皆の責任…

●樋口真嗣の責任
樋口真嗣の悪いクセである人間ドラマの演出の甘さとダサさの集大成が今作。過去作でもよく目立ったけど、ここまで酷くはなかった。無駄なシーンや辻褄が合わないシーンも多々あり、それらを編集の段階でカットしていないのもおかしい。過去作で散々言われて全然成長してない…

特に気になるのは「現場ノリで脚本に無いシーンを追加したこと」である。これに関してはどの映画製作の現場でもよくあることであり万国共通。どのシーンが追加され、どのシーンがカットされたかはわからないためなんとも言えない。逆にカットしたことで映画にとって良くなったこともあったかもしれない

脚本のM氏は実際に映画を見て、脚本には無かったシーンやカットされていたシーンもあって驚いたらしい…
ただ、「ここだけはやってほしい」という個人的願望のシーンをわざわざ入れてくれたことに関しては非常に感謝したらしく、樋口製作陣とM氏脚本の関係はお互い様と言ったところだろう…

「樋口は進撃の巨人の監督だからシンウルは駄作になる」という意見もあるが、樋口監督だからこの映画が失敗したわけではなく、同じくM氏の脚本で違う監督でも失敗していたかもしれないし、樋口監督によって良くなったシーンも悪くなったシーンもあるかもしれない。一概には彼の責任とは言いがたい…

今作は不細工な歯車がたくさん集まって上手く作動しなくなった不良品のロボットで、樋口真嗣はその歯車の一つに過ぎないと思う。過去作と比べて特に今作が群を抜いて酷さが目立つし、前編は割と良かったのに後編で監督が変わったかのように荒さが増したのは事故にも近い…また外れクジを引いただけ😓

●脚本M氏の責任
最近とあることから身を引くことを宣言した人(笑)
もっと身を引くべきこと(ネットから)があると思うが、現代における映画評論家としての一面では本当に尊敬していたので非常に残念…
そんなM氏が書き上げた最初の脚本はほぼ原作そのまま通りのストーリーだったらしい…

しかし、脚本を読んだ原作者の諫山 創は「漫画とは違った話にしてほしい」と脚本の書き直しを提示…
また、そこに樋口監督がやりたいこと、プロデューサーがやりたいこと、同じく脚本の渡辺がやりたいこと、そして諫山 創がやりたいこと…などなどの様々な紆余曲折があってあの脚本になったらしい

もちろん製作現場で脚本の内容が多少変更されたこともあるが、ストーリーの軸が変わったわけではない。確かに映画本編のストーリー展開は褒められる出来じゃない。前編は良かったが、後編からの大失速がすごかった。伏線回収もややあったが、物語の謎に関しての解明が無く、不自然な物語だった…

他者の関与があったせいでM氏が被害者になったと擁護する気は無くて、結局は良い脚本を書けなかった本人が悪いし、元の原作通りの脚本で映画が良くなったかどうかもわからない…
ただ映像面に関しては非常に良かったので、全体的には脚本が悪かったという結論に至るけど、M氏の辛さにも共感できるなぁ

● 諫山 創の責任
原作通りの脚本を変更するように要望し、全く別のキャラや設定を入れるように指示、製作部を大いに困らせている…挙句の果てに試写会で皆が出来に絶望する中、1人で大爆笑する始末。また、今作で入れた新設定を原作の伏線とするなど、実写化での失敗を踏み台としか見てない…

実写化の失敗で監督やM氏、スタッフや俳優達が誹謗中傷されたのに、元凶である本人は高みの見物…
最近シーズン2を見始めたばかりだが、作品は非常に面白いと感心してる。にわかだけど大好き。ただ作者に関してはかなり嫌悪感を抱いている。まぁ、あんな話を思い付く時点でまともな人間なわけがないw

長々と語ってしまったけど、これでもかなり抑えたw
やはり、ストーリー改変やキャラ変してる時点で原作ファンから受け入れられるわけがないし(リヴァイがいないのと、アルミン×サシャのカップリングなど)、日本の少ない予算で実写化したのがそもそもの地雷…

どの映画にも裏の現場には様々なドラマがあり、傑作も一つ間違えば駄作になったり、映画はどっちに転ぶか紙一重って感じなんだよな…
今作もいろんな要因が絡んで生まれたキメラのような作品であり、誰か1人に押し付けられる責任はない。みんな悪い。
誰がやっても失敗したのは確実だった、合掌🙏

言い忘れていたけど、M氏に脚本を依頼したのは諫山創(任命しといて結局介入するのタチ悪)

あと、前編・後編ともに90分程度と短いため、いっそのこと二つ足して3時間の超大作にしておけば多少は評価もマシになったのかなと…

製作部の方針にセンスの無さを感じるよ😓
岩ちゃん

岩ちゃん