イチロヲ

闇に浮かぶ白い肌のイチロヲのレビュー・感想・評価

闇に浮かぶ白い肌(1972年製作の映画)
4.5
豪邸に暮らしている盲目の令嬢(山科ゆり)が、失踪していた兄嫁(白川和子)の帰宅をきっかけに、不可思議な霊障を体験する。犯罪ミステリーと怪奇ホラーをポルノ風に融合させている、日活ロマンポルノ。

謎の失踪を遂げた兄嫁が、肉欲を貪るセックス・マシーンに変貌して帰宅。魔性の坩堝に嵌っていく兄(高橋弘信)を、霊感の強い妹が救出しようとする。兄嫁による「性の暴走」を徹底したホラー演出で描写するところが醍醐味。

蠱惑的な女性を妻に迎えた夫が、浮かれ立つ感情と同時に焦燥感も抱えていく。女の魔性の怖さに気づいていながら、どうしても引き寄せられてしまう。男のやるせなさと切なさが、ひしひしと伝わってくる。

視覚以外の感覚が研ぎ澄まされている妹が、自分の兄と別の男を何度も取り違えてしまうところが違和感満点だが、禍々しいホラー路線が全編に渡ってドライブしているため、鑑賞後の満足感はとても大きい。
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