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十七才のこの胸にのodyssのレビュー・感想・評価

十七才のこの胸に(1964年製作の映画)
3.0
【本間千代子さん】

DVDにて。
1964年、東京オリンピックの年の映画。鷹森立一監督作品、89分。作中の会話から、オリンピックの直後らしいと分かります。

当時人気絶頂だった歌手の西郷輝彦と、同じく人気のあった本間千代子が主演の歌謡映画。作中、西郷と本間が何度か歌を披露しています。映画のタイトルも当時ヒットした西郷の歌謡曲から。

そういう映画なのですが、今回初めて鑑賞して、結構面白いなと思いました。もっともこれは1964年をリアルタイムで知っている人間の感想なので、若い人には別の感想があるでしょう。

まず、設定。鹿児島県の指宿半島の町に住む高校生を西郷と本間が演じています。
といっても、西郷は昔はそのあたり一帯の地主だった名門家のお坊ちゃん。かたや本間は、かつてその名門家に仕えていた女中の娘。西郷の親は今でも名門意識が強く、以前の使用人の娘だからというので本間のことも見下しています。

しかし本人同士はそんな親の意識を古くさいと笑い飛ばして暮らしています。
ところが或る事情から、ふたりの間に不純交遊の噂がたち、本間は故郷を飛び出して東京へ。それを追って西郷もまた・・・

この映画で見るべきは、まず本間千代子でしょう。全盛時には当時国民的女優だった吉永小百合に次ぐ人気を誇った女優兼歌手です。もっとも当時の私は本間千代子がそんなに美人だとは思っていなかったし、今回19歳当時の彼女の姿を映画で見ても、その点では変わりはありませんでした。

ただ、ここでの彼女は役に合っています。鹿児島県の田舎町で、貧しいながら明るく生きて、朝食代わりに自分の家の畑でとれた大根をかじりながら通学する・・・今ならリアリティのない設定でしょうが、1964年当時の農村ならあり得たはず。そんな貧しい農家に育つ素朴で元気な女子高校生に彼女はぴったりなのです。

この映画には他にも、当時日本の芸能界で際立つ存在だった園まりが入院生活を送る同級生役で出てきますし、彼女を担当する医師役でテレビドラマ「特別機動捜査隊」の主役として人気のあった波島進が出演しています。
また、私は知らなかったのですが、西郷と本間のもうひとりの同級生役として新井茂子が出ています。美貌ということでは本間千代子より上ではないかと思いました。
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