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極道恐怖大劇場 牛頭のMASHのレビュー・感想・評価

極道恐怖大劇場 牛頭(2003年製作の映画)
3.0
ナンセンスな悪ノリ不条理ホラー。「デヴィッド・リンチが任侠映画を撮ったら」というコンセプトらしいが、三池監督が好き放題した結果という感じ。確かに普通の主人公が変人たちとシュールな世界に飲み込まれるという意味ではデヴィッド・リンチっぽいけど。結果、三池監督作品の良い部分と悪い部分、その両方が全編に渡りネットリと感じられる作品。

オープニングでいきなり哀川翔がチワワを叩きのめすのを観てドキドキしてたら、割と早々に哀川翔退場。その後は名古屋を舞台に曽根悠多が変人たちと出会っていくのをギョッとする描写で淡々と描くという。エログロ要素は割と少なく、会話の成り立たない人々に囲まれる居心地の悪さ、シュールな間、そして悪ふざけが過ぎる不快な描写が中心。それ自体は僕がこの作品に望んでたものなので楽しめた。

しかし、とにかく異常なまでにスローペースなのがしんどい。90〜100分とかならまだしも、それが2時間10分延々と続くんだからたまったものではない。次々何かが繰り出されるのではなく、ワンシーンワンシーンがとにかく長い。それがせっかくの奇妙さを薄れさしてしまってる気も。ここも三池監督らしいと言えばらしいが。

"きわもの"を狙いすぎているきらいもあり、個人的にはちょっと冷めてしまう部分も。あと、主演が周りに完全に喰われてしまって印象残らないのも、入り込めなかった理由かも。それだけ周りの役者陣は相変わらず凄いとも言えるが。撮影現場で俳優たちはどう思ってたんだろう?全体を包む笑えそうで笑えないような、独特のホラーな空気感は好き。三池監督の中でも特に人を選びそうな作品だ。にしても、よくこれがカンヌに出品されたな…
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