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なみのおとのyumiasaのレビュー・感想・評価

なみのおと(2011年製作の映画)
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「ふるさとだから」

かつての津波体験を紙芝居で語り継ぐおばあさんとその姉妹。消防団員たち。市議会議員のおじさん。唯一無二の友達を失ったご婦人。流されて助かった夫婦。被害の大きい町の若い姉妹。

おだやかに、時に笑いも交えながら対話が進む。インタビューだからこそ語れることもあり、親しい間で話すからこそ出る言葉もある。
やっぱり知ってる同士で話している方が、その人を感じられていい。

同じ被災者であっても、体験したことも望むことも違う。
ふるさとを元に戻したいと思う夫、もうここに住むのは…と思う妻。孤独のつらさを語る夫、その影を見せない妻。

経験は不平等だ。その溝はいつか大きくなっていくのかもしれない。
それを等しくにすることはできない、と議員のおじさんは言っていた。人によって違うということをわかっていることが大事なのだと。

田んぼの中の一本道で、飼い犬がおしりをプリプリして歩くのが好きだった、と自分の好きな町の風景を語る姉妹の地元愛はとても眩しく見えた。

時々真正面の顔がさしこまれ、どこにカメラを置いてるのかずっと気になってしまった。
インタビュアーである監督たちはあくまで観察者という感じがして、その顔は、ものすごく冷酷に見えた。ただ酒井さんが自分のことを話したあとは、少し和らいで見えた。
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