横山

なみのおとの横山のレビュー・感想・評価

なみのおと(2011年製作の映画)
5.0
ワン・ビンの『青春』以上に物理的にあり得ないと思える構図と意外にも和気藹々と当時のことを振り返る被災者の会話に終始愕き。
そして、あまりにも濱口竜介の劇映画のようだったので、全部まるっとフィクションなんじゃないかとさえ思った。

全部良かったけど特に最後の女性2人が対話する場面がよかった。
赤いカーディガンを着た方が、新地町の景観が防波堤によって海が見えなくなるようになるのは嫌だし、地球の大きなシステムの中で人工的なものが入り込むのはよろしくない的なことを言ってたけど、これまさに『悪は存在しない』じゃん。
もう1人の方が、亡くなった親族を抱えた周りの人々になんて声をかけていいかわからないけど、確かなことは忘れないでいてあげること言ってたのもかなり印象的だった。
自分も被災地に行った時にただただ無力で何を言ったらいいのか何をしたらいいのかわからなかったけど、とりあえずは自分が見たものを忘れないでいること、そしてこれらの被災者の声をじっくりと聞くことが大切なのだとしみじみ感じた。
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