やん

ほとりの朔子のやんのレビュー・感想・評価

ほとりの朔子(2013年製作の映画)
5.0
まだ1月だが、自分の中では早くも今年のベスト級との評価。そのくらい好き。素晴らしい会話劇。全てにおいての距離感が絶妙。全体を通して決してエキセントリックにならず、多くを語らず、寧ろ重要な箇所こそ敢えて濁し(ボカシ)観る者に委ね、想像力をかき立てる。作品全体を覆う清潔(矛盾しているが)なエロティシズム。まるでエリック・ロメールの作品のよう。朔子を演じる二階堂ふみの大人でもなく子供でもない、でも若さ溢れる肢体の瑞々しい美しさ。人生のほとりに佇む視線の不安定さ。完璧。他の役者も好演。特にこの作品のプロデューサーでもある杉野希紀は素晴らしい。作品を重ねる毎に画面の中での存在を増している。今後凄い女優になるかも...。あと、管画面のアスペクト比がスタンダードサイズなのも作品を豊かにしている要素のひとつ。「歓待」鑑賞時にも感じたことだが、深田監督は本当に“わかってる”監督さんだなぁ(上から目線でごめんなさい)。難癖をつけるとすれば上映時間の長さか。やはり125分は長い。が、今作に限って言えば、ずーっと朔子を観ていたいのでこの長さすら愛おしい。傑作。
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