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鉄くず拾いの物語の&yのレビュー・感想・評価

鉄くず拾いの物語(2013年製作の映画)
3.8
【2014/3/1:シネマート新宿】少なくともこの映画を観ることができる日本人は、(ブレーンはグダグダながら)一応先進国な日本という国の社会に参加し、それなりの恩恵を受けている人たちだろう。つまり、この映画の中では病院側の人間だということ。
だから、彼らの言い分はよく解るし、不憫だとすら思う。私だって「明日は余命3ヶ月の妻の誕生日だから、お金はないけど売ってくれ」って言われたら断る。ご事情は察しますが私にはどうにもできないんですよ、と。
でもこの作品を観てると、全く逆の立場であるナジフ側に感情が入る。本来これは特異なことのはずだが、なぜそうなるかってそりゃ心を持った人間だからだよな、と気付く。当たり前だけど。
人間が作ったシステムが、いつの間にか人間らしくない結果を生む仕組みを作ってしまって。それに支配されながらも、辛うじてまだ人間として心を痛めることができる私たちは社会にどう向き合い、コミットしていくべきなんだろう。
私たちも、またロマ族も、生活基盤を変えることはほぼ不可能(幸せそうな時のナジフ一家をみれば近代化だけが幸福を齎すとは思えない)だろう。ただ「共存」と放り投げるには社会という枠組みが大きすぎるし。だからこそ問題は根深く、難しい。
設備の整った映画館で観たこの作品の感想をiPhoneで書いてること自体、問題を遠巻きに眺めるだけのエゴに満ちた行為だということは重々承知で。それでも考えないよりは考えた方がずっといい、とシンプルに思います。
映画としては正直退屈で編集してくれ!と思うところも多々ありますが、多くの人の目に触れて、たくさんの「考えるきっかけ」になることが映画というメディアを選んだ意義なのかなと。

チュッパチャプス舐めつつ「愛の渦」観ようと思ったら満室ならぬ満席で、近くでやってたから偶々観た本作。チュッパチャプスしゃぶりつつ観てすみませんでした。不謹慎にもほどがある!
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