熱い、熱い、重い。二人の感情のこってりとした濃厚さに憂鬱になった。性別を超越し真実味を増した愛は夢物語のように華やかではない。異性同士の恋愛と同様にすれ違うし、いや、むしろ、もっと複雑で
レアセドゥの瞳、這わせる視線のとろとろに甘いこと。薄暗いライトの下、酒の入った状態であんな風に見つめられては、アデルもそりゃキュートな前歯を見せてうっとり微笑んじゃう。
お気に入りのシーンは、芝生に寝っ転がり太陽の下でブルーの髪を芝生の緑に溶かすところ。付き合い始めのいっときの幸福の象徴って感じがして。
2人の人生観は勿論、育った環境もこれからの未来の展望も、そしてセクシュアルも、すべて違うのに「ずっと一緒」なんて無理な話だ。音を立てずに幸せが崩れていく、その静けさの恐怖といったら。観ていて辛く、本当に辛かった。
圧巻の演技力。台本に台詞が殆ど無かったと知って納得。あ、後めっっっちゃボロネーゼ食べたくなる…
同性同士だからこその心の葛藤、大声で言えない好きのきもち、異性には勝てない悲しさ切なさ。
恋は失ってからその大切さに気が付く、とは言うが、失うからこそ大切でいられるんだと、私は思う。
もうあの太陽は二度と見れない。