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アデル、ブルーは熱い色のFoufouのレビュー・感想・評価

アデル、ブルーは熱い色(2013年製作の映画)
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とにかく長いよ。。

中身は、よくある恋愛映画の域を出ません。外見はどうでも、オツムがかたや偏差値50前後、かたや偏差値70前後の恋愛では早晩ああなりますでしょうよ。

かろうじて退屈せずに終いまで見られたのは、ほかでもないアデル・エグザルコプロスとレア・セドゥが魅せるから(セックスシーンははっきりいってどうでもいい)。二人の女優にまでパルム・ドールが与えられた(前代未聞!)のは、尺の長さを観客に耐えさせてくれた、いわば功労賞的な意味合いが強いんじゃないかしら。監督は……次作を見たいとはちょっと思わないかな。時間の流し方が嘘みたいにヘタ。え、あれから三年経ったの? とか、一々目を剥くレベル。

物食うシーンを執拗に撮る。これなんかもクリシェでしょ。アデルの食い方がちょっと汚い。これがあちらの欲望のメタファになってるという……。

男友達とするマリヴォー論に始まって、女同士の馴れ初めではサルトルの実存主義や印象派の歴史の話、パーティーではエゴン・シーレとクリムトについての議論(喧嘩)……。なんか、話題が古いというか、浅いというか、たいそうなことを言ってるようで、教科書的な知識に終始する。この辺りにも監督の限界が仄見える。

レズビアン映画を色々と見てきましたけど、本作がフツーの恋愛映画として見られてしまうのは、監督が男だからなのかと思ってみたり。てか、同性の恋愛であっても、どちらかが男性性を担い、どちらかが女性性を担う。そういう描かれ方に、そうなのか〜😒という一抹の疑念が。男っぽい女と献身する女が組み合わさるのなら、オツムはお互いヘテロなんじゃないの? セリーヌ・シアマやレア・ミシウスの映画では男性性が徹底的に排除されている。特にシアマは女性だけの世界ってのを丁寧に描いていて、なんか、得心されるし、ちゃんと芸術(beaux-arts)なんだよな。

男女でもね(男女だから?)、恋しさ募って思わず喫茶店でペッティングって……稀ですよね。同性愛=性欲オバケという偏見を助長しかねない映画かな。

ただ、ほんと、フツーの恋愛映画として見てるから、最後は辛かった。うん、うん、私にも覚えがあります。
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