あちこ

アデル、ブルーは熱い色のあちこのレビュー・感想・評価

アデル、ブルーは熱い色(2013年製作の映画)
5.0
全ての感性、官能、感覚を全開にして、フルスロットルでその世界観を感じて欲しい作品。観終わってもずっと心に余韻がのこり、繰り返し観てしまう。久しぶりに心を強く支配された映画。

生きていく上で誰しもが体験する、何かに憧れ、死ぬほど焦がれる熱い想い。満たされた時の、他には何もいらないと思える恍惚感。すれ違いによるすきま風のような寂しさ、分かり合えない苦しみ。そして失ってしまったことへの耐えがたい、死にたくなるような絶望感、後悔。でも、いつしか再生していく、生物としてのたくましさ。

それらが、アデルとエマという、外見も育ちも価値観も全てにおいて対照的な二人を通して、3時間という映像の中に凝縮されています。

セックスシーンはもちろん、表情、仕草、声のトーン、間の取り方、2人の女優の役作りが本当に素晴らしい。2人は台本を一度しか読ませてもらえなかったと聞いていますが、そのおかげで台詞や役に振り回されることなく、まるで彼女たちがフランスのどこかで本当に生きているような、そんなアデルとエマが生まれたのだと思います。

生まれたままの赤ん坊のような、ピュアで素朴で、時には醜くもある、生命のかたまりのようなアデルはもちろん魅力的だけど、私はやはりエマが好き。レア・セドゥ、最高に素敵です!!
繰り返し観ているうちに、アデルに嫉妬してしまうほどw
あちこ

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