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アデル、ブルーは熱い色のJIZEのレビュー・感想・評価

アデル、ブルーは熱い色(2013年製作の映画)
3.7
【WATCH作品No.78】
プロット自体の単純明快さと裏腹に,感受性豊かなアデルとエマの相思相愛な意思疎通は慈悲深く愛を鋭い感性で提示し爽快に煽る今作はレズ映画の域を脱し鑑賞者に対し解釈を残す扇情的な作品。同性愛を多感な青春期を通じ痛々しく繊細に描き純粋過ぎる恋情感覚を生理的に掴んだビビッドな芸術的作風だ。
同性愛に対し哲学観点からエマがアデルに問い掛け自己責任や実存性を紐解かせ対峙する場面は,出会いと決別をメタファ的に暗喩させ関係末路を惜しくも序盤から開示し示唆させた印象だった。家庭環境や思想的差異,求愛する理由等,アデルの青い季節を彩る幼さを自己完結させ,次の世界を開く姿は感銘。
総評。悪因はエマと出会う迄のアデルの恋愛遍歴や学園生活を,上回生とのSEXや授業風景,悪友との低次元な会話等,ほぼ雰囲気のみで飛躍的に魅せ,鑑賞者に対しレズ疑惑以外は葛藤や苦境なしでデジャヴぽくループさせ流動処理を施した構成が179分の長尺幅と見合わず不誠実な展開運びで否めない。
良因は理性を捨て無我夢中に自我欲求を欲しエマを求める若さ故のアデルに対し,理路整然と判断を下し自己確立を促しては互いの行動に責任を持ち先を見据えた関係を願うエマ。2人の悲観的で残酷なビジョンのズレを生々しくも儚く叙情的に投影を図る演出が感慨深く愛物語としても秀逸。是非,オススメです!!
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