エイデン

バイロケーションのエイデンのレビュー・感想・評価

バイロケーション(2013年製作の映画)
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日本、山梨県
画家を目指している忍は、なかなか思い通りの絵が描けずに思い悩んでいた
そんなある日、真下の部屋に越してきたという勝が挨拶にやって来る
弱視を患いながらも心優しい彼との出会いが忍の運命を変え、やがて2人は結婚することとなった
忍は彼の部屋に引っ越しながらも、かつての自分の部屋を引き払わずに絵の製作部屋として活用し、幸せな日々を過ごす
しかし勝の両親は未だに結婚に反対しており、時折ぎくしゃくとした雰囲気が続いていた
現実も甘くなく、独身時代の貯金も少なくなっていき、忍は今度のコンクールを絵に挑戦する最後の機会と決め、仕事に復帰することを決意する
そんなある日、忍がクリーニング店に行っている間、勝が別の場所で忍を見かけたと言い出す
それをきっかけに、忍は周囲の人間から何故かじろじろと妙な視線を投げかけられるようになる
そしてスーパーへ買い物に行っていた忍は、1万円を出して会計をしようとしたところ、偽札犯に間違われて店員に捕まってしまう
少し前に使われた1万円と、先程 忍が出した1万円の番号が同じだと指摘された彼女は、店員に証拠だと言われ、店内の監視カメラの動画を見せられる
そこに映っていたのは、忍と全く同じ姿をした何者かが買い物をしている様子だった
何が起こっているかわからないまま、忍は刑事の加納に引き渡される
しかし加納は、何故か忍が無実だと確信しており、彼女の目の前で先程の2枚の1万円札を取り出すと、何と目の前でそのうちの1枚が消失してしまうのだった
加納によれば、もう1人の忍もこの1万円札と同じ偽物なのだと言う
加納はそのまま忍を車に乗せ、町外れにある豪邸へと彼女を連れて行く
執事の榊に案内され、ある部屋に入った忍は、そこでこの豪邸の主人 飯塚、大学生の御手洗、主婦の門倉と出会う
飯塚は、ここは“バイロケーション(バイロケ)”を持つ者の集まりだと語る
バイロケとは、自分の近くに発生するもう1人の自分のことで、すぐに消えてしまうものの自由に行動したり他者と交流する存在
バイロケはオリジナルと同じ記憶を持っているが、バイロケが体験したことをオリジナルが知る由は無いため、人生を変えられてしまう可能性のある危険な存在だった
ここにいる4人は全員バイロケーションの被害に遭っているそうで、飯塚は忍を救いたいと語るが、信じきれない忍は部屋を飛び出して行く
しかしすぐ目の前に忍のバイロケが現れる
忍が驚愕しているうちにバイロケは消失、ようやくこの話を信じることに決めるのだった
その後 門倉の車で送ってもらった忍は、彼女の身に起こったことを聞かせてもらう
忍には難病を患った息子がおり、バイロケは事あるごとにその息子を連れ去ろうとするらしく、この件と同じようにバイロケはオリジナルの大切なものを奪おうとしてくる習性があるらしい
それを聞いた忍は、バイロケに勝が奪われるのではないかと戦慄する
以来 忍はバイロケの恐怖に脅かされていくこととなるが・・・



同じ人間が2ヶ所で同時に目撃されるという超常現象バイロケーションを題材にした法条遥原作のホラー映画

自分と全く同じ姿の人間が好き勝手に振る舞う不気味さもさることながら、自分の人生を奪いにやって来るという恐怖感が絶妙な作品

また『シックス・センス』を超えるラストなんて銘打つ程度には、ラストのどんでん返しに自信ある様子
超えてるかというと何となくオチは予想できるしそうでもない気はするけど、あちこちに布石を打ちながら鑑賞者を惑わせていく展開は上手い方だと思う

サスペンス調な展開の中で、自分自身と真に向き合えるかというテーマっぽいものも垣間見え、最近のポンコツ感あるジャパニーズ・ホラーの中ではレベル高い方かな
更に『バイロケーション 表』(オリジナルバージョンはこっち)、『バイロケーション 裏』と題して、ラストのオチも2種類用意されてるぞ
わざわざ主題歌まで変えるコリっぷりなので合わせて観よう
ついでに推しの人形作家の三浦悦子が劇中の人形作ってるので注目してほしい
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