&y

なみのこえ 新地町の&yのレビュー・感想・評価

なみのこえ 新地町(2013年製作の映画)
4.0
【2014/3/9:オーディトリウム】
山ほどある「3.11ドキュメンタリー」を一つのジャンルと捉えるならば、これ異色作なのでは。
「口承」は関係性なくしては生まれない。ドキュメンタリー映画という手法を取りながらも、記録映像ではなく「ことば」と「顔」にフォーカスしている点がおもしろい。
そもそも、エキセントリックな映像は皆無。震災に関わった(必ずしも直接的被災者に限らず)既知の間柄の二人の人物、または監督のインタビュー形式で全6組の対話を収めている。互いの自己紹介に始まり、語られるあの日のこと、それからのこと。時に饒舌になり脱線したかと思えば、決して語られない事柄が行間から滲み出たり。それを収めるカメラがまた、二人をシンメトリーに切り取ったり、所謂「小津ポジ」で対峙させたり、肩越しの俯瞰で映したり。

あの日と今の関係性。二人の関係性。話と画の関係性。最初は風変わりすぎてどう観たらいいのか戸惑ったが、ああこれって「関係性」についての作品なのだな、と気付くといつもの濱口竜介作品を観るのと同じ感覚で吸い込まれた。(…っていうか関係性云々て濱口監督の十八番じゃんね。またもやヤられてしまった感。)
&y

&y