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嗤う分身のRのネタバレレビュー・内容・結末

嗤う分身(2013年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2014年のイギリスの作品。

監督は「サブマリン」のリチャード・アイオアディ。

あらすじ

会社員のサイモン・ジェームズ(ジェシー・アイゼンバーグ「ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダー・カット」)はその影の薄さから職場の上司や同僚からその存在を黙殺されていた。そんなある日、会社にサイモンと瓜二つのジェームズ・サイモンがやってくる。サイモンとは真逆に要領も良く、魅力に溢れるジェームズは徐々にサイモンの生活に侵食していく…。

U-NEXTにて。

もうなんかタイトルからして、不穏。「笑う」じゃなくて「嗤う」だかんね笑

原作はなんとあのドストエフスキーの「二重人格」という作品を原作としているらしいが、物語の骨格はそれほど難しそうじゃない。

ただ、その世界観は異質、のっけから電車のシーンから始まるんだけど、サイモンとヒロインのハナ(ミア・ワシコウスカ「悪魔はいつもそこに」)と顔の見えない乗客以外は誰もいないし(そこでの「そこは、俺の席だ。」のセリフがその後のサイモンの顛末を暗示しているようでまた不穏。)、サイモンが勤める会社もワープロみたいなものをペコペコやってるだけの(ブラック)企業で何やってるかわからない。

また、時代設定もレトロな時代なのかと思いきや、未来っぽさもあり、常に薄暗い感じがまたムードを醸しつつ不気味な雰囲気で展開していく。

で、主人公のサイモンなんだけど、前世で何かあったのかってくらい不憫極まりなくて、警備員に毎度止められるわ、上司や片想いの相手のハナに名前すら覚えてもらえないわと「影が薄い」という域をちょっと超えてるんじゃないかってくらい不運過ぎる。

また、酷い目に遭う時のジェシー・アイゼンバーグのあの「困り顔」がまた絶品なんだよなぁ。

で、中盤からサイモンの「分身」というか、これはドッペルゲンガー的な存在のジェームズ(アイゼンバーグ二役)が登場するんだけど、こちらはこちらでカリスマ的な雰囲気を持ち、周囲を瞬く間に虜にする人ったらし。ただ、出会った女を連れ込んで、サイモンや良い関係性になっていくハナの部屋に連れ込んで致したりと割と真性のクズ。割とアイゼンバーグのイメージってこっちのイメージの方が強いかも。

で、最初はサイモンに協力する姿勢を見せながら、おいしいところは全部掻っ攫って、挙げ句の果てにサイモンの領域までどんどんと侵食していき、挙げ句の果てにはサイモンの母親の葬儀にも参加しちゃう様は、まさにスリラーという感じ。

で、ラストはどうなるのか…というと、これはハッピーエンド…ということで良いのかな?ただ、この場面も穿った見方をすればサイモンなの?ジェームズなの?という感じで、本当にハッピーなのかは心底信用できない感じがまた本作らしい味わい深さを感じさせる。

所々、「上を向いて歩こう」などの日本の歌謡曲が使われたりと、めちゃくちゃ変わった作品ではあるんだけど、何故か心に残る作品でした。
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