ゆずきよ

インセプションのゆずきよのレビュー・感想・評価

インセプション(2010年製作の映画)
5.0
クリストファー・ノーラン監督、レオナルド・ディカプリオ主演
映画を観る時に前情報はなるべく入れないで観るようにしているが、クリストファー・ノーラン監督の最高傑作との呼び声高いという事はお聞きしてしまっていた。
否が応でも期待値が上がってしまう。

物語としては、夢の中でアイデアや情報を盗むというスパイ行為の犯罪をしている主人公が、ある交換条件で抜きとるのでは無く植え付けて欲しいと依頼される所から始まる。
この夢のシステムを理解するのに少し時間がかかる。
前半しっかり時間を使って仲間集めをしながら説明してくれるので、他のノーラン作品に比べると理解はしやすい。
ディカプリオの主軸の目的もしっかりとしていて、謎を含ませつつ縦軸の部分として物語に深みを持たせていると感じた。
観ている側も現在の映像が夢なのか現実なのか錯覚してしまうのは、あえてわかりにくくしているのだと思う。
劇中でもある様に、夢を見ている時は夢だと気付けないものだから。
そのトリックを最大限活かした作りになっていて、観ていて楽しくて楽しくて。
中盤以降は特に緊張感があり、先の読めない展開。
特に終盤30分は自らもより深い階層に落ちてしまった様に、時間の経過を忘れてしまう。
ラストに関しては、多くは語れないけれどとある小道具を使用し視聴者に判断を委ねる形で、久しぶりに映画を観た後に深く息を吐いた。

予想以上の圧倒的な世界観と視覚効果。
小説を読んでいて、これは映像化難しいだろうなと思う事はあるけれど、映画を読んでこれは文章化難しいだろうなと思ったのは初めてでした。
人物の掘り下げが少し弱いのかなと思ったりもしたけれど、失っても諦めきれないという部分に焦点を置いているので、これで良いのかも知れない。
一度観ただけでも十分に面白いが、二度観る事でより真価を発揮する映画だと思う。
何故なら内容の理解云々より、前半の良くわからないなと思っていた答え合わせが心地良いから。
一度目は楽しめない映画ならイマイチだが、二度観る事で深みを増すならそれは名作だと個人的には思っています。

もしかしたら今この現実も誰かの夢なのかも知れない。
そんな子供の様な事を思ってしまった事って誰だってあると思う。
それを確かめる術は無いし、確かめる勇気も無い。
その答えを探して、私は明日もまた映画を観ていくのだろうな。
ゆずきよ

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