未来

インセプションの未来のレビュー・感想・評価

インセプション(2010年製作の映画)
4.4
世界中の厨二病をファンに抱える名監督クリストファー・ノーランの代表作。

あらすじ
人の『夢』に入り込み機密情報を盗み出す産業スパイ(レオナルド・ディカプリオ)。彼が他人の夢に入り潜在意識を植え付けるという意外とシンプルなストーリー。

今作のわくわくポイントはまず『他人の夢に入ることができる』というプライバシー完全無視のアバンギャルドで非道徳全開のムーブだけでなく、夢の中では創造力しだいで世界を自由に設計できるという創造主を体現した映像、『森羅万象を望み通りに創り変えられる』というロマンと可能性溢れるの理想郷的な設定である。ノーランの映画は迫力ある映像や難解でスリリングな脚本だけでなく、このような”中学生の空想レベル100”のようなものが体験できるという部分が世界中の人たちから愛されている理由なのだと思う。

この映画の題材である『夢』は人々にとって身近な物でありながら、解明されておらず怪異的な事象である。それが題材になっている事でSFでありながら共感しやすいハイブリット設計でありがたく感じた。また『夢を現実逃避の対象』としていたり、人の『潜在意識』が持つ強い影響力など人間の本質的なところを突いていて興味深かった。

しかし個人的にあまり好ましくなかった点もあり、それが映画の長さとストーリー展開である。この映画は無駄なシーンが多いとは感じないが、後半の畳み掛けに向かっての舞台設定や説明部分が長い。後半をスムーズに進めるための無駄に見える理屈っぽい説明もあり講釈感が否めなかった。また壮大に時間をかけて映画が展開していく割に『過去のトラウマからの決別』というありがちなテーマはインパクトに欠けた。

総合的な感想としては、『夢』という設定を活かしてここまで壮大な脚本を作れるのはすごいと思った(語彙力)。
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