サットン

インセプションのサットンのネタバレレビュー・内容・結末

インセプション(2010年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

ネタバレ、そして否定的なレビューになります。
一回しか観てないので、見過ごしてしまった部分もあるかもしれません。



何も考えずに見れば面白い。

けどまあ、考えさせたい映画なんでしょ?
そこが浅い。つまらない。
無駄に長い映画。映像や設定が先行しすぎて
ストーリー後付けしたようにみえる。


夢なんてのは、そんなにハッキリしてない。
突拍子もないことが起きまくる。
人が混乱するのは、夢がリアルだからではない。
夢と現実の境い目が、とても曖昧だからだ。
目覚めた時に、しっかりと覚醒していないと尚更。


夢の中では物理法則だけでなく、
論理法則さえも成立しなくたって平気だろうに。

物理法則を無視して、「設計」するくせに、
人間の動きは、物理法則を無視していない。


2階層目が無重力なのは、1階層目が落下中だから。
しっかり意味を持たせている。
夢の中なのに、なぜそんな理由付けが必要なんだ?

しかも、落ちているのは自分たちであって、
1階層目の世界が落ちているわけじゃない。
各々の1階層目の状況が、2階層目の各々に影響与えるなら、
歩くのだって一苦労、会話もままならないはず。
持たせた意味さえ意味不明。

夢の中では非連続性は問題にならないし、論理破綻していたりするもの。
それが夢の中での時間感覚に影響する。
一番は、同時にいくつもの夢を見ているからなのであるけれど。
それらを繋ぎとめる、関連付ける、一貫性を持たせるものがあるとすれば
それが深層心理なんじゃないのかな。


目覚めている世界、我々が生きている世界が「夢」である可能性を言いたいのなら、
それこそ、夢の中こそもっと非現実的であったほうが、真実味が増したはず。

夢の中で、想像力が創造する。
映画は夢かもしれないが、夢は映画ではない。


現実と区別のつかない幸福な世界。
現実を夢だと思わせた主人公はアホだ。

夢を抜け出す方法が、死ぬこととかいう設定こそが、
主人公の妻が自殺した理由に直結する。

自分の存在を消したい。世界を無にしてしまいたい。
そんな自死の理由があるのに。
それが夢だとしても、より理想的な世界があるとすれば、
自死を選ぶ人間は、たくさんいる。恐らく蔓延する。


レイ・ブラッドベリ「たんぽぽのお酒」という小説に出てくる幸福マシーンだ。
田舎町の発明家が、妻のために「幸福」を感じさせるマシーンを作る。
そのマシーンの中で、妻は、世界中に旅行したり、
楽しいことをし、自分が若くなったように感じさせる。
けれど、妻はマシーンから出てくると泣き崩れる。

どんなに幸福を感じても、現実の家事や些細な物事は何も片付いていない。
それ故に、自分を惨めに思ってしまうのだから。



穿った見方をすると、監督が撮りたい映像が先にあって、
ストーリーや設定を後付けしたように思える。
そのシーン必要?短くなるんじゃと。

結果として、サイト―の動機は弱い。
標的とその企業のキャラクターが弱いからだ。

インセプションがどんな結果を生み出すかは、予測不可能かのように
主人公の妻のエピソードがあるのに、
サイト―が依頼したインセプションは成功したようだが、
それがもたらしたものは描かれない。


アリアドネのトーテム、ポーンはどっかで役だったっけ?
自分の記憶にないだけかもしれない・・・
どうせならこれで現実に戻ってこればよかったのに。
飛び降りるんじゃなくってさ。


そもそも、トーテムで判定さえも怪しい話なわけだ。
夢の中では、何度やってもうまくいかないこともある。

不安定に揺れながら回転する主人公のトーテム。
思わせぶりなカット。
さて、バランスを失って倒れるのかそれとも回り続けるのか?
それまで、夢の中では淡々と回り続けたのに。

夢の中なら、それはそれで受け入れるという主人公の意志なのか?
夢の中にいたい妻を自殺に追い込んで、その罪の意識に苛まれつづけたのに。
自分にはそれを許すのか?

それとも主人公は虚無空間に落ちたのか?
虚無といいつつ虚無じゃないという演出どうなんだろね。
廃人になって帰って来れないという意味程度に取っておく。



ラストシーンの意味付けを無視して、夢だったとして。
「この映画の物語はすべて夢でした。あなたの世界も夢かもしれませんよ?」
この類の映画が一番タチが悪い。ふざけんな!
こっちは物語が虚構だなんてことは、百も承知で観ているのだ。

同じ理由で、今までのことは全て作り話でしたで終わる
「ユージュアル・サスペクツ」大っ嫌い!


こんなことなら、ニーチェでも引用すればよかったのだと思う。
「これが生きるということであったのか?よし!もう一度!」


まあ、これだけ考えさせてくれたのだから。
一応それなりに評価あげておこうと思う。

観ていて「マトリックス」を思った。
たぶん意識してると思う。まったく違う映画だけど。たぶん。
僕の「マトリックス」の評価は高い。
サットン

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