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インセプションのよのレビュー・感想・評価

インセプション(2010年製作の映画)
4.0
中学のとき、つまり公開当時、家族で観た。あのころはそうやって頻繁に映画館へ足を運んでいたが、いちばん印象に残っているのは本作だという気がする。
あのころ家族で観た映画、に思いを馳せるとき、きまって『インセプション』が真っ先に浮かんだ。つづけて意味不明だという感想と、エレベーターシャフトの幾何学的な風合いが蘇る。

経ること十三年、あらためて見直すとその理由がよく分かった。
きっと私にとって『インセプション』が初めての映像体験だったのだ。今これを映画館で観られたら、と今の私が歯軋りしているのがその証拠だ。
iPadの小さな画面のなかで起きている出来事は、劇場ならきっと出来事以上の意味を持って迫ってくる。

じっさいエレベーターシャフト以外にも見覚えのあるシーンがたくさんあった。漂着したデカプリオ、金ピカの部屋、トーテム。
思い出せないだけで、忘れていなかったのだ。じーんと来た。
そして、十三年もの風化に耐えうる映像を撮ってくれたノーランに感謝した。デカプリオや渡辺謙の演技にも。

ちなみに、意味不明だったストーリーだが、いま観ると難なく理解できた。あれから映画をたくさん観て、読解力みたいなものが身についたらしい。
嬉しかった。ちょっと誇らしかった。
よ