のん

インセプションののんのレビュー・感想・評価

インセプション(2010年製作の映画)
4.5
2020/09/04
IMAXにて鑑賞

鑑賞後、どうやって今、家までたどり着いたのか分からない。
劇場を出てから足元がふらついた。
イヤホンから流れる、よく聴く音楽さえも頭に入らない。
これは現実だろうか?‥なんて、馬鹿な事を考えてしまう程、この作品は余りにも素晴らしかった‥

新作ではない為、視聴済みの友人が何人かいた。
友人らは口を揃えて「面白いが、難しかった」と言う。
そのため、今回初見の私は少し不安だった。
映画を観ることは好きだが、理解力が高い方だ‥とは言えないからだ。

結果として、友人等と同じ意見だ。
この映画は、端的に言えば『夢』の世界を巡る話であり、その事にはいくつものルールがある。
作中、それらのルールに関しての丁寧な説明はあったものの、場面転換があまりにも多く、集中して観察していても、「それで、この行動の意味は?」と疑問を抱いてしまう‥点が多かった。
だから、この作品を一度で完璧に理解は出来ていないという自覚はある。

だとしても、だ。
この作品にはあまりにも、あまりにも魅力的すぎた‥!

端から端までこだわり造られた映像、アクション、途切れぬ音楽、そしてストーリー‥
『夢』とは、潜在意識が現れる場所だ。それが恐ろしい形であったり、自然であったり、また、最愛の人の形であったり‥
そういう物が、延々と詰まっていた。
つまり飽きる暇が一切無かったのだ!

ラストに関して、やはりSNS上でも色んな感想を見られた。
ああいう「あなたの想像で決めて下さい」‥というような終わり方なのだから、まぁ色んな感想を見れるだろう。

私が感じたのは、「恐怖」だった。
これが主人公・コブにとって本当に現実なのか、あるいは‥?
もし私がコブの立場だとして、あの終わりが、「あるいは」夢だったとしても、おそらく同じ夢を見る。そして、一生現実には帰れなくなるのだ‥
そういう、人間の潜在的なモノ‥コブと同じような欲はきっと誰にだってあって、だからこそ身近に感じられて、「恐怖」を覚えた‥のだと思う。

とにかく素晴らしかった‥
映像、ストーリー、音楽‥と、素晴らしい役者たちの演技を、余す事なく詰め込まれた作品だった。
再上映の形で、IMAXで観ることが本当に良かったと思う。こうして興奮が3時間たった今ですら抑えられないのだから。
のん

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