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インセプションのQTakaのレビュー・感想・評価

インセプション(2010年製作の映画)
4.1
ノーランを見た。
IMAXで見た。
大正解だった。
圧倒的な映像表現を全身で感じた。
満足しかない。
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無防備な睡眠中の夢に入り込んで、秘密を盗む。
秘密は、夢の中では無防備だ。という設定。
”夢”ってなんだ?
夢に潜り込むってどういうことだ?
そう言えば、夢の中に誰か出てくること有るよな。
あれは、夢の中で何かを盗みに来たのか。
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”夢に潜り込む”という設定にもう一つ加わる。
時間の設定だ。
夢の中では、時の歩みが遅くなる。
”夢の機能は通常の20倍だ”
10時間=10×20(=200時間(≒8日))
20倍の早さで進むのだから、夢から覚めても1/20しか経っていない。
あっという間なのである。
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さらに、夢の階層構造という話が出てくる。
入った夢の中でさらに眠ると階層が一つ深くなる。
さらにその夢の中で眠るともう一層深くなる。
映画では、3階層まで行く。
するとその階層ごとに時間の流れも遅くなる。
現実の10時間
1階層の200時間(≒8日(1Week))
2階層の4000時間(≒167日(≒5か月半(6Manth)))
3階層の80000時間(≒3333日(≒100か月(≒9年3ヶ月(10Years))))
と言うことになる。
つまり、10時間の間に、夢の中では10年余りの時を過ごすことが可能になる。
そして、映画は、この10時間(≒10年)で行われる作戦を魅せてくれる。
階層を深くして行けば、時間をコントロールすることにすらなるのだ。
夢に入ってからの物語は、この時間との競走になる。
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夢の中で何をするのか。
もともと、「情報を抜き取る(Extraction)」事を目的としていたのだが、そこに「情報を植え付ける(Inception)」という事を行おうとする。
この映画の作戦は、ターゲットに存在しない情報を植え付けることだ。
その情報を発端に、依頼者の思う未来が生まれる。
そのための夢の作戦が立てられ、にチームが集められる。
チームの中の一人、女子大生が面白い。
夢の世界を設計するのだ。
その設計のルールは実に自由だ。
重力に縛られることすらない。
この夢の設計の話も面白い。
彼女が生み出した夢の中の街の情景がホントに夢のような構造だった。
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夢の中の世界が出来てしまう。
それは、実際とは別の世界。
今見ているもの、
今過ごしている時間、
今存在している場所、
それが夢なのか、現実なのか。
夢から現実に戻るためには、刺激を与えて目を覚ます必要が有る。
たとえば、夢の中の”死”が、現実へ戻るためのきっかけになる。
このことが、悲劇を生むことになる。
夢と現実の区別がつかなくなった時、夢から抜け出せなくなるのか、現実を受け入れられなくなるのか。このあたりの理解も映画の中で様々に示唆されているポイントだ。
ここでふと思った。
”夢”を操れるようになったため、”夢”と”現実”という相対位置が問題になる。
”夢”を”仮想現実(バーチャルリアリティ)”と置き換えると、そう遠くない現在の延長に見えてくる。
何処に居るのか分からなくなるという現実。
それは、”迷子”ってことなのか、”ホームレス”って事なのか。
難しくなってきた。
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これだけ面倒なルールと設定が有りながら、なにも苦労なく状況を把握して、物語を楽しめた。
このこと自体が不思議なことでも有るのだけれど、それくらい良くできた映画なんだ。
そして、これらのルールを踏まえて、スクリーンに描き出される映像は、超絶美しく、大迫力なんだ。
建物や車などが破壊される情景は、繊細で、美しく、強烈だ。
さらに、眠りの階層が深くなるにつれ、物語は走り出す。
時間との競走だ。
アクションシーンの連続になるのだが、これもまた気持ちよい。
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これらの映像と音を余すところ無く受けとめ、楽しむための施設がIMAXシアターだった。
ホント凄かった。
今まで見たIMAXの中で最高だったかもしれない。
そして、上映前に流れたノーランの新作”TENET”の予告編もそそる内容だった。
次もIMAXで見たくなった。
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