こつぶライダー

インセプションのこつぶライダーのネタバレレビュー・内容・結末

インセプション(2010年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

公開当時、大学生だった私は、DVDレンタル鑑賞。観終わってすぐさま後悔した。オレは何故映画館に行かなかった?!

あれから10年。もちろん『TENET』は映画館に行きました。

「インセプション」そのタイトルから疑問だった。それは次作の「インターステラー」しかり「ダンケルク」しかり「TENET」しかり。
タイトルから観客へ疑問を投げ掛ける監督クリストファー・ノーラン。その名を覚えたのが今作だった。

この作品の衝撃を未だに超える作品が出てきていない。
個人的に「インターステラー」の方が壮大で好きなんだけど、コンパクトに収まっていて、かつ説明が端的でまとまっているため、人に勧めるなら「インセプション」を推す。

今では当たり前となった、設定の事前説明と、味のある登場キャラクターも魅力の一部だ。
それがあるから、難しい設定でも分かりやすくなり、一般的な作品(話題作、超大作、娯楽作)としてオススメできる。

難解な設定と演出は、2〜3時間では詰め込み過ぎかと思ってしまうが、いやいやむしろ4時間や1時間半ではいけない微妙なバランスの良さを感じるのだ。

また、説明し過ぎることなく、最低限のルール説明に留めていることが、後に観客への議論の余地を与え、何度も映画館に足を運んでは考察を重ねる作業に勤しむファンを作る要素となっている。

映画という興行の成功と共に、作品の評価を上げる工夫を感じる。

物語の内容について。
こういった夢の世界に入るストーリーを考案した人は他にもいるだろう。ただし、先述したように、細かい設定や計算し尽くされた展開までは至らなかったように思える。
また、ただのSFに終わらないのがノーランらしいところ。
コブとモルの愛の物語として描くのは、ノーランが単なるSFジャンルとして脳内知性にとどめず、我々観客の心に届かせる想いの表れ。そこが、ノーラン信者を造らせる源だと分析している。理系であり、文系である人間、ノーランおそるべし。

映画の見所は、なかなか一つに絞れないが…強いて挙げるなら、始まりの画で、老人となったサイトーのカットが入るところかな。
話が進むに連れて、始まりの画の記憶は薄れていく。驚きの映像と複雑なストーリーとを理解するので脳が一杯いっぱいになるから、余計に始まりは忘れ去られる。
しかし、ラストに待っていた展開で、始まりの画の意味がわかる。
実は、「TENET」にも同じ手法が使われているが、私としてはそれよりもスッキリさこちらの方があった。

数あるSF映画の中で、ここまで緻密に計算しされたストーリーを観たのは始めてだった。だからこそ感動も強く、次回作への期待も膨らんだ。
それを次々に上回ってくるノーランの凄さは、次作のレビューで詳しく触れることにするが、何より私にとってそれを味合わせた衝撃としては、「インセプション」がナンバーワンだ。
こつぶライダー

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