yaotomo

アクト・オブ・キリングのyaotomoのネタバレレビュー・内容・結末

アクト・オブ・キリング(2012年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

虐殺者本人を主人公にして虐殺事件を撮るドキュメンタリー。こんなドキュメンタリー2つとない。

最初は、昔のヤンチャ自慢をするおっちゃんが、嬉々とどうやって人殺してきたか、力を振るってきたかを説明している。
衣装選びも楽しそうで、俳優になりきっている。
しかし、自ら行なってきた、殺し、ゆすり行為、強姦などをその映画の中で、
加害者として、被害者として、亡骸として追体験していく中で、罪悪感や後悔を抱き、次第に笑顔が失われて最後には涙する。

ラストシーンで、自分が殺した人に「あなたに殺されたおかげで私は天国に行けて幸せです」なんて言われていた。
どんな気持ちだったのだろう。

ただ、虐殺を行なってきた彼らが、「完全に」自分の行なったことを後悔しているようには見受けられなかった。
「あれは仕方がない」「あれは国家を守るためだ」「他にももっと悪い奴はいる」と
後悔しながら自分の行いを肯定している。

全体的にはシュールだった。
撮影しているドキュメンタリーのセットや、衣裳、地元にいる素人の演技はチープなものだったが、スクリーンの中にいる彼らは本物虐殺者で、その対比がとても悪趣味(褒めている)であった。
うまく言えないが、ハリウッドに虐殺事件の映画を作らせたらもっとリアルに本格的に、虐殺事件を目の当たりにしてない我々には映るだろうが、クオリティが高くても所詮は映画だ。本物なのに偽物っぽい。
偽物なのに本物っぽい。
そこに混乱する。

パンチャシラ青年団のトップや構成員、当時虐殺に加わったもの達、政治的にトップに属する知事のような人も全員輩のようで、そこにも驚いてしまった、、
力こそパワー。暴力。金。
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