Foufou

サッドティーのFoufouのレビュー・感想・評価

サッドティー(2013年製作の映画)
4.0
今泉力哉監督と青柳文子氏の本作についてのインタビューがネットで閲覧できます。

今泉映画には茶がよく出てくる、というご友人との会話から、「寂茶」というワードが浮かんで、それではタイトルとして渋過ぎるから、「サッドティー」になった、とその経緯を監督自身が語っておられる。映画専門学校「ENBUゼミナール」のワークショップとして作られた作品。

今泉作品には、ほかの映画に対する目配せがあるように思います。たとえば『こっぴどい猫』には『レザボア・ドッグス』が、最近作『窓辺にて』には深田晃司監督作品の『ほとりの朔子』が、そして本作はホン・サンス。

と思って調べたら、ホン・サンスの『正しい日 間違えた日』のほうがあとに撮られているのでした。恐れ入りました。

冒頭の夫婦の夕食シーンですね。夫がニヤニヤしていて、釣られて妻も吹き出してしまう。ああいうのが、演出としてほんとうに私の好みです。

一途な愛をみんなで見に行こうと、と言って海に車を走らせるのもいいですね。今泉作品には海が出てこない、なんて思っていたら、出てきました。びっくりしました。

どこから連れてきた? というような個性的な俳優陣で撮るほうが、今泉作品はいいと思うのは、私だけでしょうか。特に好きな俳優とかいない私だから言うことなんでしょうか。特定の俳優が好きというより、映画のなかで魅かれていく。だから、映画によって、嫌いになることもあるわけで。

本作の女優たち、みんな好きになります。

『窓辺にて』を見たあとでこちらを見ました。やってることは同じだなぁ、と。同音異曲と思わなくもない。でも、本作のほうがたくさん遊んでいて、おそらく制約もほとんどないからでしょう、伸び伸びやっておられるのが手に取るようにわかる。断然、こちらのほうがいい、というか、らしいです。

変なネコの壁掛けがラブソファの背後にあって、あ、あれ『こっぴどい猫』にもあったなって、なんか嬉しかったですね。

本作はすごい近い。『窓辺にて』は、なんか、遠い。

それは、寂しい。


トリプルファイヤー、カッコ悪くてカッコいいです。
Foufou

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